SH5081 総務省、「消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2024」公表 池田美奈子(2024/09/04)

取引法務消費者法

総務省、「消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2024」公表

岩田合同法律事務所

弁護士 池 田 美奈子

 

1 はじめに

 電気通信サービスが消費者にとって必要府不可欠なインフラの一つとなった一方、利用者・事業者間の情報格差や事業者等の不適切な勧誘などを起因とする消費者トラブルが多いことを受け、電気通信事業法(以下「事業法」という。)は、電気通信サービスに関する消費者トラブル防止等のための消費者保護ルールを定めている。

 総務省は、消費者保護ルールの制度面の対応状況の検証や新たな課題への対応の検討を行う「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」(以下「本検討会」という。)を結成し、そこでの検討結果等を踏まえ、累次にわたる消費者保護ルールの充実・強化を図ってきた。

 本稿では、本検討会が、令和6年8月20日に公表した「消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2024」[1](以下「本報告書」という。)のうち、令和4年の事業法施行規則の改正(以下「令和4年改正」という。)により導入された消費者保護ルール[2]の施行状況と評価について、同改正の解説と共に紹介する。

 

2 電話勧誘における説明書面を用いた契約前の提供条件説明の義務化

⑴ 規律の概要

 電気通信事業者及び代理店(以下「電気通信事業者等」という。)は、電気通信サービスの契約に際し、契約締結前に、利用者に対してサービスの提供条件の概要書面を交付して説明する義務がある[3]。従前は、利用者が書面交付に代えて代替的方法[4]での説明を「了解」した場合は代替的方法によることが可能であった。しかし、電話勧誘の場合は、利用者が十分な認識のないまま「了解」し、事業者との間でのトラブルに繋がる事例が多いことを踏まえ、令和4年改正により、電話勧誘の場合は代替的方法での説明を「求め」ない限り、書面交付による説明が義務化された[5]

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(いけだ・みなこ)

岩田合同法律事務所アソシエイト。日本及び米国(NY州)弁護士。2007年東京大学法学部卒業。2009年University of Michigan Law School修了(LL.M.)。2010年早稲田大学法科大学院修了。約4年間、海事専門法律事務所に所属し、海事案件の経験も豊富に有する。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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