SH5105 重要経済安保情報保護活用諮問会議(第2回)――適性評価について 中崎尚/藤田将貴/松本拓/石川雅人(2024/09/20)

組織法務経済安保・通商政策

重要経済安保情報保護活用諮問会議(第2回)
――適性評価について――

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 中 崎   尚  

弁護士 藤 田 将 貴

弁護士 松 本   拓  

弁護士 石 川 雅 人

 

1 はじめに

 2024年5月に成立した経済安全保障分野における新たなセキュリティ・クリアランス制度を創設する重要経済安保情報保護活用法[1]において、政府は、重要経済安保情報の指定およびその解除、適性評価の実施ならびに適合事業者の認定に関し、有識者(重要経済安保情報保護活用諮問会議)の意見を聴いた上で運用基準を策定することとしている(18条1項)。今後、政府は、重要経済安保情報保護活用諮問会議を随時開催し、2024年の冬頃には運用基準案等を策定してパブリックコメントに付した後、年内を目途に運用基準等を策定することを目指している。

 本稿では、2024年7月31日に開催された第2回となる重要経済安保情報保護活用諮問会議で議論された適性評価の方向性などについて説明する。

 なお、重要経済安保情報保護活用法の概要については、拙稿「経済安保情報保護法および改正経済安全保障推進法の成立」[2]を、重要経済安保情報保護活用諮問会議の概要については、拙稿「重要経済安保情報保護活用諮問会議の開催」[3]を参照されたい。

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(なかざき・たかし)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、国内外のインターネット・IT・システム関連を中心に、個人情報保護・プライバシー(ヘルスケア・遺伝子を含む)、サイバーセキュリティ、AI・メタバース・宇宙衛星をはじめとする先端分野、経済安全保障、電波法・電気用品安全法ほか技術分野、EUサイバーレジリエンス規制ほか海外コンプラインアンス対応、クロスボーダー取引、知的財産案件(著作権・商標・ライセンス・共同開発)、ベンチャー支援を幅広く取り扱うほか、AI事業者ガイドラインWGほか経済産業省・総務省・内閣府ほか政府の有識者委員を多数歴任するとともに、個人情報保護委員会の各種調査を受託しております。インターネット関連では、SNS・クラウド・メタバース・オンラインゲームほかの各種サービス立ち上げ・海外進出支援、ドメイン紛争、セキュリティを中心に、個人情報保護法、資金決済法、プロバイダ責任制限法、電気通信事業法ほか各種業法規制への対応、IT・システムでは、システム開発、セキュリティ、オープンソースを含むプログラム紛争を中心にサポートしております。

日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、内閣府メタバース官民連携会議委員、AI事業者ガイドラインWG 委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。

「生成AI法務・ガバナンス 未来を形作る規範」「Q&Aで学ぶメタバース・XRビジネスのリスクと対応策」「Q&Aで学ぶGDPRのリスクと対応策」(いずれも商事法務)ほか講演・執筆多数。

 

(ふじた・まさき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2003年早稲田大学法学部卒業。2006年京都大学法科大学院修了。2007年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年University of California, Berkeley(LL.M.)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。大手総合商社法務部への出向経験を有する。国内外の経済安全保障・通商、M&A、事業再生分野を中心に取り扱う。主な著書・論文:『英文M&Aドラフティングの基礎』(共著)(金融財政事情研究会、2023)、「米国の経済制裁の基礎知識と実務対応のポイント」(Business Lawyers(ウェブサイト)、2022)、「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度を創設する法案の閣議決定」(商事法務ポータル、2024)、「欧州委、経済安全保障を強化するための5つのイニシアチブを公表」(商事法務ポータル、2024)、「米国による懸念国向け半導体関連輸出規制の強化」(商事法務ポータル、2023)、「米財務省 CFIUS2022年次報告書を公表」(商事法務ポータル、2023)、「米財務省、マネーロンダリング防止法および制裁法違反によりバイナンスと合計約43.7億ドルの制裁金支払いで和解」(商事法務ポータル、2023)、「グローバル法務 日本企業が留意すべき個人情報保護、ビジネスと人権、経済安全保障に関する各国の法規制や動向」(共著)会社法務A2Z 2024年2月号ほか多数。

 

(まつもと・たく)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー(弁護士・ニューヨーク州弁護士)。主要な業務分野は,①M&A・投資,②経済安全保障・通商,③アウトバウンド・インバウンド,④スタートアップ法務・投資,⑤ウェルス・マネジメント及び⑥競争法関連。2012年インドネシアのSSEK法律事務所勤務,2016年コロンビア大学・ロースクール(LL.M.)修了,2016年~2017年米国のSeward & Kissel法律事務所勤務。https://www.amt-law.com/professionals/profile/TUM

 

(いしかわ・まさと)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2010年東京大学法学部卒業。2010年警察庁入庁(~2021年)。2017年京都府警察本部警備部外事課長。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。危機管理・不正調査、経済安全保障等を取り扱う。主な著書・論文:「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度を創設する法案の閣議決定」(商事法務ポータル、2024)、「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議による最終とりまとめの公表」(商事法務ポータル、2024)。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング

 


* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

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