金融庁、全上場会社に対する株主総会前の適切な情報提供
(有価証券報告書の提出)の要請
岩田合同法律事務所
弁護士 齋 藤 弘 樹
1 要請の内容
2025年3月28日、金融担当大臣から全上場会社に対し、株主総会前の適切な情報提供について要請(以下「本要請」という。)がなされた。本要請は、今年から(定時)株主総会の前日ないし数日前に有価証券報告書(以下「有報」という。)を提出することを検討するよう求めるものである。
2 要請の経緯
本要請は、①有報には、役員報酬や政策保有株式等のガバナンス情報等、投資家がその意思を決定するに当たって有用な情報が豊富に含まれており、上場会社においては、投資家が(定時)株主総会の前に有報を確認できるようできる限り配慮することが望ましい、②(定時)株主総会の3週間以上前に有報を提出することが最も望ましい、としている。
そして、上場会社の実務上の課題・負担があるにせよ、下図のとおり9割以上の上場会社が(定時)株主総会同日または数日以内に有報を提出していることから、株主総会の前日ないし数日前に提出を前倒しすることも大きな支障はないものと考えた上で、本要請はなされている。
図:本要請末尾より
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(さいとう・ひろき)
岩田合同法律事務所 パートナー。2010年東京大学法学部卒業、2012年東京大学法科大学院卒業、2013年弁護士登録。2017年9月岩田合同法律事務所入所。危機管理業務(平時の内部統制システムの整備や有事対応)とIT関連業務を多く扱い、事業会社からの電子契約の導入・活用に関する相談のみならず、金融機関の電子契約システムの制度設計、電子契約ベンダのシステム設計などにも関わっている。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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金融庁、株主総会前の適切な情報提供について
https://www.fsa.go.jp/news/r6/sonota/20250328-2/20250328-2.html