SH3257 総務省、法務省、経産省、利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&Aを公表 松橋 翔(2020/07/31)

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総務省、法務省、経産省、利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&Aを公表

岩田合同法律事務所

弁護士 松 橋   翔

 

1 背 景

 今般の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、テレワークにおいても利用可能な「電子署名」(電子署名及び認証業務に関する法律(以下「電子署名法」という。)2条1項柱書)によるいわゆる電子契約の活用が期待されている。

 この点、現在は、電子契約の形式として、利用者の指示に基づき、利用者が作成した電子文書(デジタル情報)について、サービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行うサービス(以下「立会人型サービス」という。)が普及しているが、同サービスには電子署名法上の取扱いが不明確であるとの懸念が存在していた。

 そこで、総務省、法務省及び経済産業省は、かかる懸念に応えるべく、令和2年7月17日、「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A」(以下「電子署名Q&A」という。)を公表した。

 

2 電子署名Q&Aの解説

⑴ 電子署名法の概要

 電子署名法のうち、利用者に関係する、3条及び2条1項では概略以下のとおり定められている。

 電子署名法3条では、電磁的記録(電子文書等)につき、本人による一定の電子署名が行われているときは、真正に成立したものと推定する旨定められている(真正に成立したものと推定される場合、相手方等による反証がない限り、当該電磁的記録(電子文書等)が本人の意思に基づき作成されたとして証拠としての価値を持つことになる。)。

 そして、真正に成立したものと推定される要件の1つである「電子署名」につき、電子署名法2条1項でその定義が定められており、「当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること」(同項1号)、「当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること」(同項2号)が要件として定められている。

 電子署名(及び認証)の概要は、以下の図のとおりである[1]

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(まつはし・しょう)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2015年中央大学法学部卒業。2017年慶應義塾大学法科大学院修了。2018年弁護士登録。

岩田合同法律事務所 https://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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