SH3361 ISS、2021年度版議決権行使助言方針(ポリシー)改定に関するコメントを募集 山田康平(2020/10/29)

組織法務監査・会計・税務

ISS、2021年度版議決権行使助言方針(ポリシー)改定に関するコメントを募集

岩田合同法律事務所

弁護士 山 田 康 平

 

 Institutional Shareholder Services Inc.(以下「ISS」という。)は、本年10月14日、2021年度版の日本向けの議決権行使助言方針(ポリシー)の改定案(以下「本改定案」という。)を公表し、同日から10月26日までの間、本改定案に関するコメントを募集した。

 本改定案を反映した改定後の議決権行使助言方針(ポリシー)は、2021年2月から適用される予定であるが、かかる改定を見据え、以下では、改定が予定されている事項の概要を説明する。

 

1 監査役設置会社の取締役会構成基準の厳格化(2022年2月から導入予定)

 本改定案では、監査役設置会社において、株主総会後の取締役会に占める社外取締役(独立性を問わない。)の割合が3分の1未満である場合、経営トップである取締役(通常、社長及び会長を指す。)の取締役選任議案に反対を推奨するものとされている。

 現行の議決権行使助言方針(ポリシー)は、指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社に対してのみ社外取締役が取締役の3分の1以上を占めることを求めているが、本改定案は、かかる基準を監査役設置会社にも導入するものである。ISSが、これまで監査役設置会社にこれを求めていなかったのは、指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社の取締役会は経営の「監督」が主な役割であるのに対して、監査役設置会社の取締役会は経営の「執行」が主な役割であるという前提に立っていたからである。しかしながら、近年、監査役設置会社においても社外取締役の割合が3分の1以上を占める会社が大きく増加しており、監査役設置会社における取締役会の役割が「執行」から「監督」へと変化していることが見て取れることから、かかる改定が検討されている。

 本改定案のポイントとして、まず、現行の指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社と同様、社外取締役に独立性は求められていないことが挙げられる。独立性は重要であるものの、独立性をも求めた場合、企業が、候補者の資質ではなく独立性の確保にばかり注力し、弁護士・会計士・学識経験者など、経営者としての経験の少ない人物ばかりが社外取締役候補となることにつながり得るためである。

 加えて、本改定案が、2022年2月から導入予定であることが挙げられる。近年の傾向に照らすと、2021年の時点で社外取締役の数を増加させることを検討している監査役設置会社も少なくないであろうが、3分の1という割合的な基準は、取締役会全体の員数にも関係するため、かかる基準を満たしていない監査役設置会社においては、2022年に向けて慎重に検討を進めたい。

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