◇SH3182◇金融庁、「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」を公表――企業会計基準委の「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症に関する開示の考え方」を踏まえ(2020/06/04)

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金融庁、「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」を公表

――企業会計基準委の「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症に
関する開示の考え方」を踏まえ――

 

 金融庁は5月21日、「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」を公表した。

 これは、企業会計基準委員会が公表した議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症に関する開示の考え方」(4月10日公表、5月11日追補)を踏まえたもので、有価証券報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について、

 ① 財務情報における追加情報の開示

 ② 非財務情報(記述情報)の開示

 ③ 有価証券報告書レビューによる対応

をまとめたものである。

 このうち、「有価証券報告書レビュー」については、金融庁は3月27日に実施内容の方針を示していたが(後掲の別項参照)、今回、この方針を更新して、「(1)法令改正関係審査」に以下の内容を追加している。

 

▽審査対象となる「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日公布・施行)に関する開示内容には、「経営方針・経営戦略等」、「事業等のリスク」及び「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」等における新型コロナウイルス感染症の影響に関する開示も含まれる。

 また、上記に加え、企業会計基準委員会の上掲の議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」が公表されたことを踏まえ、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する「追加情報」の開示についても、本年度の有価証券報告書レビューの対象に含めて審査する。

 以下では、「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」の概要を紹介する。

 

有価証券報告書における新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示

(1) 財務情報における追加情報の開示

 企業会計基準委員会の議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」では、財務情報において、「どのような仮定を置いて会計上の見積りを行ったかについて、財務諸表の利用者が理解できるような情報を具体的に開示する必要があると考えられ、重要性がある場合は、追加情報としての開示が求められる」とされている。

 また追補では、「当年度に会計上の見積りを行った結果、当年度の財務諸表の金額に対する影響の重要性が乏しい場合であっても、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある場合には、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する追加情報の開示を行うことが財務諸表の利用者に有用な情報を与えることになると思われ、開示を行うことが強く望まれる」とされている。

 このように「会計上の見積り」の開示は、投資家が財務諸表を理解する上で有用な情報と考えられ、新型コロナウイルス感染症の影響のように不確実性が高い事象については、財務情報である追加情報において、会計上の見積りに用いた仮定をより具体的に開示することが強く期待される。

(2) 非財務情報(記述情報)の開示

 非財務情報(記述情報)では、本年3月期決算から適用される改正企業内容等開示府令において、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて、「当該見積り及び当該仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響」などを開示することが求められている。ただし、この内容を財務情報である追加情報において開示した場合には、非財務情報の開示ではその旨を記載することによって省略することができる。

 また、「会計上の見積り」以外では、非財務情報において、今般の新型コロナウイルス感染症の影響について、「事業等のリスク」における感染症の影響や対応策、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」における業績や資金繰りへの影響分析、経営戦略を変更する場合にはその内容等の充実した開示を行うことが強く期待される。

(3) 有価証券報告書レビューによる対応

 非財務情報における改正内閣府令に関する開示内容については、本年3月27日に公表している通り、有価証券報告書レビューの対象となっており、これには新型コロナウイルス感染症の影響に関する開示も含まれる。

 また、企業会計基準委員会の議事概要(追補を含む)の公表を踏まえ、財務情報における、新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する追加情報の開示についても、上記の有価証券報告書レビューの対象に含めて審査する。

 

 

 

金融庁、「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」の公表(5月21日)
https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20200521.html

○「新型コロナウイルス感染症の影響に関する企業情報の開示について」
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/01-2.pdf

○企業会計基準委、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(4月10日)
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/20200409_429g_02.pdf

○企業会計基準委、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(追補)(5月11日)
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/20200511_432g_02.pdf

○金融庁、有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施について(令和2年度)(5月21日)
https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20200327.html

 

参考

SH3094 金融庁、「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施について(令和2年度)」を公表(2020/04/07)
https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=11467440

 

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