特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の
向上に関する法律が施行
岩田合同法律事務所
弁護士 唐 澤 新
2021年2月1日、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(以下「透明化法」という。)が施行された。コロナ禍の現在において消費者にとってのデジタルプラットフォームの重要性は増すばかりであるが、デジタルプラットフォームは、ネットワーク効果により一極集中が進みやすく、デジタルプラットフォームを利用する事業者との関係において、(a)規約の一方的変更や取引拒絶の理由が示されないなど、取引の透明性が低い、(b)利用事業者の合理的な要請に対応する体制・手続が不十分であるといった問題が顕在化してきた。
総務省・令和元年版情報通信白書より
透明化法は、かかる状況を踏まえ、デジタルプラットフォームに係る取引の透明性及び公正性を確保し、公正かつ自由な競争を実現することを目的に、デジタルプラットフォームに対する規制を定める新法として位置付けられる。規制の特徴としては、特定の事項を禁止するのではなく、①デジタルプラットフォームを通じて商品等を提供する者(商品等提供利用者、透明化法第2条第3項)及び商品等提供利用者以外の利用者(デジタルプラットフォームを通じて商品等を購入する消費者等[一般利用者、透明化法第2条第4項])に対する提供条件の開示、商品等提供利用者に対する提供条件の変更及び取引拒絶の理由等の開示(透明化法第5条)、②商品等提供利用者との相互理解の促進を図るための必要な措置[1](透明化法第7条)、③開示の状況等に関する自己評価、報告(透明化法第9条)を義務付けることにより、イノベーション分野におけるデジタルプラットフォームの提供事業者の自主性と自律性に配慮しつつ、デジタルプラットフォームを「見える化」することで利用者の利益保護を図る仕組みとなっている。
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(からさわ・あきら)
岩田合同法律事務所アソシエイト。2010年東京大学法学部卒業。2012年東京大学法科大学院修了。2013年弁護士登録。2020年シカゴ大学ロースクール修了。独禁法、エネルギー関連、クロスボーダー案件を中心に企業法務全般を取り扱う。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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