花王、「調達に関わるサプライチェーンESG推進ガイドライン」を策定・公開
――遵守状況を巡り第三者監査など、ハイリスクサプライヤー・サプライチェーン向けの取組みも――
花王(本店・東京都中央区、東京証券取引所市場第一部上場)は8月24日、「調達に関わるサプライチェーンESG推進ガイドライン」を策定したとし、同社ウェブサイト上で公開した。英語版「Supply Chain ESG Promotion Guidelines」も併せて確認できる。公開されたガイドラインによれば、常務執行役員(2021年1月1日現在の担当として、購買部門統括・会計財務担当)名により今年6月28日付で策定されている。
花王によると、同社は「毎日の暮らしの中で使用する製品を提供する企業の責務」とし、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷の低減に積極的に取り組んできた。2019年4月にはESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を策定し、設定した19の重点テーマの一つとして「責任ある原材料調達」を挙げ、中長期目標を制定。本テーマの実現に向け、同社では「取引先に法令遵守に加え、『社会的責任』と『環境』への配慮を求めており、遵守する取引先から優先して調達してい」るという。新規策定となる「調達に関わるサプライチェーンESG推進ガイドライン」により、サプライチェーン全体のトレーサビリティ確保や資源保護・環境保全や安全、人権といった社会的課題の解決について、取引先とともにさらなる推進・貢献を図る。
ガイドラインでは、冒頭部分において上述の方針・取組みを説明しつつ(1)すべての取引先に「調達先ガイドライン」 を周知し、(2)監査を含めた遵守状況の確認を行い、(3)違反がある場合には改善指導や取引の中止など適切な対応をすると謳った。また(4)調達原材料の中から人権・環境における課題が大きなサプライチェーンを特定し、(5)現場における対話を通じたリスク把握を行い、課題の本質を見極め、解決に向けた活動を取引先やNGOとともに取り組み、その進捗を確認・公表していくとする。ガイドラインの本文は「1. サプライチェーンESG推進に向けたお取引先との取り組み」「2. “ハイリスクサプライチェーン” の特定と本質的解決に向けた取り組み」と構成しており、「1」において上記(1)~(3)を、「2」において(4)・(5)を織り込んだ。
たとえば、上記1「サプライチェーンESG推進に向けたお取引先との取り組み」における「お取引先との取り組み内容」では7つの箇条書きを掲げ、その第3項で「お取引先に対して、Sedex(花王SAQ、代替プログラムを含む)入会、CDPサプライチェーンプログラム参加を要望し、人権・環境面でのデュー・ディリジェンスを促進します。取り組みが不十分なお取引先には、改善を要求いたします」(編注・花王による注記を略。以下同様)としたうえで、第4項・第5項で「お取引先に対して第三者監査(SMETA監査など)を実施し、監査数を公表します」「お取引先と共に、第三者認証制度(RSPO、FSC等)を活用した原材料調達を推進します」と表明。第7項では「お取引先と共に、デジタル技術を活用した情報共有システムを構築し、課題発生時に早期対応を実施いたします」とした。
また、上記1の末尾ではハイリスクサプライヤーを「天然資源(天然油脂、紙・パルプなど)の 調達に関わるお取引先、および人権・環境面でのデュー・ディリジェンスが不十分なお取引先など」と定義。(ア)購買担当役員承認のうえ毎年見直しを実施するほか、(イ)第三者監査を優先的に実施し、リスク把握と指摘事項に対する改善要求を行う。
さらに、続く上記2「“ハイリスクサプライチェーン” の特定と本質的解決に向けた取り組み」においては「ビジネス視点」「エリア視点」「ESG視点」の3視点から “ハイリスクサプライチェーン” を特定。(a)購買担当役員承認のうえ毎年見直しを実施するほか、(b)現場での対話を通じてリスク把握を行い、トレーニングプログラムなど課題の本質解決に向けた活動を取引先およびNGOと一緒に取り組み、その進捗を確認・公表していくとしている。