個人情報委、「外国における個人情報の保護に関する制度等の調査(報告書)(令和4年3月)」公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業
弁護士 井 上 乾 介
弁護士 田 浦 一
1 はじめに
去る令和4年4月28日、個人情報保護委員会は、イスラエル国、カタール国、コスタリカ共和国、チュニジア共和国、パナマ共和国、ペルー共和国、南アフリカ共和国、モロッコ王国、モンゴル国を調査対象として実施した各国の個人情報の保護に関する制度の調査(以下「本調査」という。)の調査結果を「外国における個人情報の保護に関する制度等の調査(報告書)(令和4年3月)」(以下「本調査報告書」という。)として公表した。
本稿では、本調査の実施および本調査報告書の執筆に参加した経験を踏まえて、本調査の背景・目的、本調査報告書の概要を紹介する。
2 本調査の背景・目的
⑴ 本調査の背景
本調査は、個人情報保護法の令和2年改正において、外国にある第三者への個人データの提供の制度にかかる規律が強化され、個人情報取扱事業者から本人に対し、外国の個人情報保護法制を含む情報提供が個人情報保護法上の法的義務となったことを背景とするものである[1]。
個人情報保護委員会、令和2年11月4日付「改正法に関連する政令・規則等の整備に向けた論点について(越境移転に係る情報提供の充実等)」4頁 なお参照条文は公表当時のものである。
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(いのうえ・けんすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。
(たうら・はじめ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2008年北海道大学法学部卒業。2010年北海道大学法科大学院卒業。2011年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。2019年New York University School of Law(LLM)修了。2020年ニューヨーク州弁護士登録。データプライバシー法務の他、IT・インターネット関連の案件について広くアドバイスをしている。また、会社法・M&A関連の案件を多数取り扱う。
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