SH4053 マレリホールディングス、事業再生ADR手続の不成立を受け、簡易再生手続開始の申立て 久木元さやか(2022/07/08)

取引法務倒産・事業再生

マレリホールディングス、事業再生ADR手続の
不成立を受け、簡易再生手続開始の申立て

岩田合同法律事務所

弁護士 久木元 さやか

 

1 本件の事案の概要

 マレリホールディングス株式会社(以下「マレリ社」という。)は、令和4年3月に、準則的私的整理の一つである事業再生ADR制度の利用を申請したが、同年6月24日に開催された、事業再生計画案の決議のための債権者集会において、ADRの成立に必要となる全債権者の同意が得られず、東京地方裁判所に法的整理である簡易再生手続開始の申立てをするに至った。

 以下では、事業再生ADR制度について概説するとともに、法改正の状況や本件の評価等につき解説する。

 

2 事業再生ADR制度の概要

 事業再生ADR制度とは、法に基づく認証及び認定[1]を受けた特定認証紛争解決事業者[2]が、中立な専門家として、金融機関等の債権者と債務者との間の調整を実施する制度である。商取引債権者を巻き込むことなく、非公開の手続で金融債務の調整を図ることができるため、事業価値の毀損を回避できるという私的整理の利点を維持しつつ、第三者機関が手続を主宰することによってより高度の中立性、公平性を確保できる制度として活用が期待されている。

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(くきもと・さやか)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2015年東京大学文学部卒業。2017年東京大学法科大学院卒業。2018年弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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