SH3411 個人情報委、第158回 個人情報保護委員会を開催――改正法に関連する政令・規則・ガイドライン等の整備に向けた論点整理が進む 平井裕人(2020/12/04)

取引法務個人情報保護法

個人情報委、第158回 個人情報保護委員会を開催
――改正法に関連する政令・規則・ガイドライン等の整備に向けた
論点整理が進む――

岩田合同法律事務所

弁護士 平 井 裕 人

 

1 はじめに

 本年6月12日に、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」が公布された(以下「改正法」という。)。

 改正法は公布から2年以内に施行され、それに向けて政令・規則・ガイドライン等が整備されることになる。その内容については、既に第149回 個人情報保護委員会(令和2年7月22日)において、基本的な考え方が定められているところではあるが[1]、詳細についてはこれからの議論に委ねられている。

 そこで、第155回以降の個人情報保護委員会において、政令・規則・ガイドライン等の整備に向けた論点整理が行われている。

 

2 これまでの議論

 個人情報保護委員会においては、検討に当たっての基本的な考え方を示し、それに即して整備内容の方向性を提示するかたちで論点整理が行われている。

 これまで検討された事項については、以下のとおりである。

 

委員会 検討事項
  1. 第155回
  1. ① 個人情報の取扱体制や講じている措置の公表
  2. ② 保有個人データの処理の方法の公表
  1. 第156回
  1. ①(委員会への)漏えい等報告・本人通知の対象となる事態
  2. ②(委員会への)報告の時間的制限・報告事項
  3. ③ 本人通知の時間的制限・通知事項
  4. ④(漏えい等の事態が発生した場合に委託先が委員会への報告義務を免除されるための)委託先から委託元への通知方法
  5. ⑤ その他(改正法において漏えい等報告の対象とならない事案の取扱い、認定個人情報保護団体の関与、漏えい等事案に関する国際的な情報共有への貢献)
  1. 第157回
  1. ①(個人データの越境移転に関する)同意取得時に本人に提供すべき情報
  2. ② 移転元の事業者が講ずべき「必要な措置」
  3. ③ 本人の求めに応じて提供すべき「必要な措置に関する情報」

 

3 第158回 個人情報保護委員会での議論内容

 第158回 個人情報保護委員会においても、引き続き政令・規則・ガイドライン等の整備に向けた論点整理が行われている。

 その具体的な内容については、以下のとおりであるが、前提として、改正法は、提供元では個人データに該当しないものの、提供先において個人データとなることが想定される個人関連情報(生存する個人に関する情報であって、個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないもの)の第三者提供について、本人同意が得られていること等の確認を義務付けている(法26条の2第1項)。下記検討事項①は、その際の同意取得の態様・方法について、同②はどのような場合に個人データとなることが想定されるかについて、同③は確認の記録義務について、それぞれ問題とするものである。

 

検討事項 検討の方向性(いずれも確定的なものではない)
  1. ① 本人からの同意取得の態様・方法について
  1. ① 本人に対して必要な情報提供を行い、本人がそれをよく理解した上で、明示の同意を得ることを原則とすべき。
  1. ② 「個人データとして取得することが想定されるとき」の語義について
  1. ②「想定される」場合に該当するかどうかは、提供元の認識と一般人の認識の双方を基準にして判断するものとし、その具体例については、ガイドラインで示す。
  1. ③ 個人関連情報における確認記録義務について
  1. ③ ア)提供元における確認方法、イ)提供元における記録事項、ウ)提供元における記録の保存期間につき、それぞれ以下の方向で検討する:
    • ・ 本人の同意の確認については提供先の第三者から、本人に対し十分な説明を行った上で、本人から同意を取得している旨の申告を受ける方法を、越境移転にかかる情報提供の確認については、提供先から本人に対する情報提供の方法を説明した書面の差し入れを受ける方法及び提供元において、提供先のプライバシーポリシー等を確認し、同意取得に際して越境移転にかかる情報提供を行っていることを確認する方法を、それぞれ例として検討しつつ、具体的な確認方法はガイドラインで示す。
    • ・ 提供年月日、第三者の氏名等、個人データ(個人関連情報)の項目、本人の同意等については提供元における記録事項とする。
      ユーザーID等の記録・保存を求めることはかえってリスクを増大させることになり、トレーサビリティも提供先の本人の氏名等の記録で確保されることから、記録の対象とする必要はない。
      一方で、個人関連情報を提供した年月日については、同一の提供先に対する異なる時点での提供行為を区別できるようにする必要があることから、提供元においても記録の対象とすべき。
    • ・ 個人関連情報を提供する際の記録についても、個人データの提供・受領時と同様の期間の保存を求める。

 

4 企業が留意しておくべき点

 個人情報の取扱いは避けて通れるものではなく、各企業は、個人情報の取扱いの原則的ルールである個人情報保護法の内容について、十分押さえておく必要がある。改正法の施行はまだ先であるが、施行と同時にこれに対応するためには、今のうちに改正法に対応できる体制の整備を進めておく必要があり、個人情報保護委員会の議論の内容についても意識しておく必要がある。

以 上

 


[1] 「改正個人情報保護法 政令・規則・ガイドライン等の整備に当たっての基本的な考え方について」https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/12/200722_kihontekikangae.pdf

 

 

(ひらい・ひろと)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2013年中央大学法学部卒業。2015年東京大学法科大学院修了。2016年弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>
〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)

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