フィリピン:再生可能エネルギー分野における外資規制の緩和(上)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 箕 輪 俊 介
1 はじめに
フィリピンでは近年外資規制の緩和を積極的に行っているが、2022年12月より再生可能エネルギーの分野でも外資規制の緩和がなされたため、本稿にて紹介したい。
2 2022年を通じた外資規制の緩和
2022年は一年を通じてフィリピンにて外資規制の緩和が見られた年であった。
2022年の前半に任期を満了したドゥテルテ前大統領は、外資規制の緩和を政策の一つとして掲げていたこともあり、任期を終える直前に外資規制に関する重要度の高い法改正を相次いで行った。1月には小売自由化法が改正され、小売業における外資規制が大幅に緩和された。また、3月には公共サービス法(the Public Service Act)が改正され、外資規制の対象となる公益事業の範囲が具体的に規定された。これにより、従前は公共サービスに含まれるものとして考えられていた通信、海上・航空輸送、鉄道等の事業は公共サービスに該当しないことが明らかとなり、外資規制の対象外であることが明確化された。
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(みのわ・しゅんすけ)
2005年東京大学法学部卒業、2007年一橋大学大学院法学研究科(法科大学院・司法試験合格により)退学。2014 年Duke University School of Law 卒業(LL.M.)、2014 年Ashurst LLP(ロンドン)勤務を経て、2014 年より長島・大野・常松法律事務所バンコク・オフィス勤務。
バンコク赴任前は、中国を中心としたアジア諸国への日本企業の進出支援、並びに、金融法務、銀行法務及び不動産取引を中心に国内外の企業法務全般に従事。現在は、タイ及びその周辺国への日本企業の進出、並びに、在タイ日系企業に関連する法律業務を広く取り扱っている。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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