SH4382 総務省、通信障害発生時の事業者対応を巡り「周知・広報に関するガイドライン」を策定・公表――周知等事項として「代替手段」明記、ホームページ更新頻度の具体化など原則4月1日適用開始 (2023/03/29)

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総務省、通信障害発生時の事業者対応を巡り「周知・広報に関するガイドライン」を策定・公表

――周知等事項として「代替手段」明記、ホームページ更新頻度の具体化など原則4月1日適用開始――

 

 総務省は3月17日、「電気通信サービスにおける障害発生時の周知・広報に関するガイドライン」を公表した。2月中に原案を公示、実施した意見募集の結果を踏まえて複数の修正を加えており、たとえば本ガイドラインの適用期日については原則として「令和5年4月1日から適用する」といった追記がなされている。

 総務省では電気通信事故の大規模化・長時間化を背景とし、かねて電気通信事故検証会議(座長・相田仁東京大学大学院工学系研究科教授)における検証などを通じて再発防止に取り組んでいる。事故発生時の利用者への情報発信を巡っては同会議の下に「周知広報・連絡体制ワーキンググループ」(主査・内田真人早稲田大学基幹理工学部情報理工学科教授)を設置、2022年10月24日に初会合を開催。同ワーキンググループにおける検討の成果として総務省は本年2月1日、意見募集を経て「電気通信事故検証会議 周知広報・連絡体制ワーキンググループ取りまとめ」を公表した。

 公表されたガイドラインは「取りまとめ」を踏まえ、電気通信事業法1条の「電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益の保護」を図るため、「電気通信サービスにおける事故及び障害発生時の周知・広報等に関して、事業者に求められる対応を明確にすることで、利用者の利便性及び電気通信サービスに対する信頼性を確保するとともに、適時適切な情報提供により事態の早期沈静化を図ることを目的とする」(本ガイドライン3頁参照。以下同様)と位置付けられている。既存の「事業者団体ガイドラインの内容をベースとしつつも、同ワーキンググループで周知広報に関するガイドラインの策定に向けた検討を行い、政府でガイドラインを策定し、事業者団体ガイドラインをこれに発展的に統合させていくことが適当であるとされた」(2頁・脚注1)ものである。

 ガイドラインはその本文部分を「第2章 ガイドラインの対象者及び対象となる事故等の範囲」「第3章 周知・広報を行う事項等」「第4章 ホームページへの掲載要領」「第5章 相談窓口の設置、部門間連携の在り方」「第6章 情報伝達手段の多様化」「第7章 関係機関への連絡」「第8章 その他の留意事項」と構成。第8章は対象事故等発生の場合に迅速・的確な対応が可能となるよう「事業者は、第2章から第7章までに掲げる事項につき、あらかじめ対応要領、担当部署、情報伝達手順・体制等について定めておく」(10頁)といった「(1)対応要領等」などを規定するものとなっている。

 第2章による対象者は、すべての事業者とされた。うち電気通信分野における災害対策基本法の「指定公共機関」となる事業者に対しては「一部の項目において一層確実かつ丁寧な対応」(3頁。なお、本稿における引用に当たってはガイドライン本文に付記された脚注について割愛する。以下同様)が求められる。対象事故等については「一部のアクセス回線部分で発生した事故等、軽微な事故及び障害を除き、電気通信役務の提供に影響が発生した、又は発生すると認識した事故及び障害(自然災害を含む。以下「対象事故等」という。)を広く対象」(3頁以下)とし、かつ事業者の認識・判断に基づき「当該対象事故等に該当しない事故及び障害であっても、利用者に及ぼす影響が大きいと判断されるときは、事業者は必要に応じて利用者が対象事故等の状況を確認するために必要な事項を、自らのホームページに掲載する」(4頁)ものとされた。

 第3章では「(1)周知・広報を行う事項」として具体的に11点を挙げ、12点目に「その他、利用者が対象事故等の状況を確認するために必要な事項」を掲げる(4頁以下)。6点目として「⑥代替的に利用可能な通信手段とそれらの利用方法」を明記。また、2点目「②対象事故等の影響を受ける地域」および5点目「⑤復旧の見通し又は復旧日時」に関し、指定公共機関については「災害等によりサービスに影響が生じている場合は、地図及びGISデータによりサービス支障地域を図示するなど、支障地域を分かりやすく伝えるとともに、可能な限り遅くとも数日以内に復旧見込みを示すこととし、見通しが立ち次第、地域ごとの復旧見通しも示す」(6頁)ものとされている。なお「(2)障害発生から初報までの時間の目安」は、指定公共機関において公表まで原則「事故等が発生した時点から、原則30分以内」であり、指定公共機関以外の事業者についても「これに準じて、できる限り早急な初報の公表」(以上、7頁)とされた。

 対象事故等発生時の具体的な対応方法として、たとえば「第4章 ホームページへの掲載要領」をみると、本ガイドラインにおいては「(1)ホームページにおける情報の掲載場所」「(2)ホームページにおける情報の更新頻度」「(3)ホームページにおける情報の掲載期間」を規定するものとなった(7頁以下)。上記(2)によれば(i)状況に変化があった場合にすみやかに情報の更新を行うこと、(ii)状況に変化がなく更新内容がない場合も指定公共機関にあっては深夜早朝を除き少なくとも1時間ごとを目安に情報の更新を行うこととともに、(iii)災害による障害発生時においては、たとえば、指定公共機関は地図を通じたエリア障害情報の情報提供を含めて深夜早朝を除きおおむね1日3回以上3時間から5時間ごとに情報の更新を行うことが規定されている。

 意見募集結果を踏まえて「第10章 ガイドラインの見直し等」(原案公示段階の見出しは「ガイドラインの見直し」)に追記された「(2)本ガイドラインの適用期日」(11頁)によると、原則「令和5年4月1日から適用」される。ただし(ア)「第5章 相談窓口の設置、部門間連携の在り方」と(イ)「第6章 情報伝達手段の多様化」および「第7章 関係機関への連絡」の指定公共機関間の連携に係る部分について「正当な理由により即時の対応が不可能な場合はこの限りでない」とされるとともに、この場合、可能となり次第、遅くとも「第5章については令和5年6月30日まで」に、また「第6章及び第7章の指定公共機関間の連携に係る部分については令和5年6月1日まで」に対応すべきものとされている(11頁・脚注25)。

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