金融庁、「インサイダー取引規制に関するQ&A」を改訂
――投資経験・知識の少ない人向けに「基礎編」を追加する等の改訂――
金融庁と証券取引等監視委員会は7月29日、「インサイダー取引規制に関するQ&A」を改訂したと公表した。
同Q&Aは、平成20年11月18日に公表されていたところ、「株式投資等は資産形成のための有効なツールですが、現在は、インサイダー取引規制の内容を正確に知らないこと等により、必要以上に投資を控えている方も多いのではないかと考えられ」、「投資経験・知識の少ない方にも規制の基本的な内容をご理解いただけるよう」、Q&Aに「基礎編(問1~7)」を追加する等の改訂を行ったものである。なお、従前公表していた内容は、「応用編」とされ、実務上問題となる論点に関する法令解釈の指針等を示すものとなっている。
以下、本Q&Aの構成を紹介する。
【「インサイダー取引規制に関するQ&A」の構成】
○ インサイダー取引規制に関するQ&A【基礎編】
(問1) 株式売買についてのインサイダー取引規制とはどういうものですか。
(問2) インサイダー取引規制の対象は株式のみですか。投資信託やETFもその対象に含まれますか。
(問3) 上場会社の役職員等は、自社株式や取引先を含む他社株式を売買することはできますか。
(問4) 重要事実等を知った場合でも株式の売買が可能となる「公表」とは、どのような方法で行われるのですか。
(問5) 重要事実のバスケット条項に該当する事実とはどのようなものですか。
(問6) インサイダー取引の未然防止の観点から、上場会社の社内規則では、株式等の売買について、どのような売買管理規則が設けられていますか。
(問7) 金融庁及び証券取引等監視委員会における、職員の投資に係る規則、資産形成支援の取組みはどのようなものですか。
○ インサイダー取引規制に関するQ&A【応用編】
(問1) 上場会社が信託方式又は投資一任方式によって自己株式取得を行う場合において、インサイダー取引規制に違反しないためには、どのような配慮が必要でしょうか。
(問2) 現在、一部の上場会社において、「役職員について、持株会を通じる方法以外での自社株式取得を禁止する」という社内ルールが設けられている例があるが、年末まで又は年度末までなど一時的にこの社内ルールを解除し、インサイダー規制に反しない限り役職員が自社株式を取得してよいこととしたいと考えますが、インサイダー取引規制との関係で問題がありますか。
(問3) 上場会社の役職員が、自社や取引先の株式を売買する場合、それらの会社に係る未公表の重要事実を職務等に関し知っていれば、取引の経緯等から重要事実を利用する意図がないことが明らかであったとしても、インサイダー取引規制違反として課徴金納付命令等の対象となるのでしょうか。
(問4) 「金融商品取引法等に関する留意事項について」(金融商品取引法等ガイドライン)第1章166-1、166-2及び167-1について、
- ⑴「公開買付け等がある」とは、どのような状態のことをいうのでしょうか。
- ⑵ 被買付企業の取締役会等が決定した要請が「合理的な根拠に基づく」場合とは、どのような場合でしょうか。
- ⑶ 要請を受けた者が買付け等を行うに当たっては、どのような点に留意する必要があるでしょうか。
- ⑷ 同166-2において、要請を受けた者が、公開買付け等がないことを知りながら買付け等を行う場合についての留意事項が記載されているのに対し、同167-2が存在しないのは、どのような理由によるのでしょうか。
(問5) 上場会社等に係る業務等に関する重要事実を逐次入手し続ける立場にある者は、いわゆる「知る前契約・計画」を活用することができないのでしょうか。すなわち、契約の締結又は計画の決定の時点において何らかの重要事実を知っている以上、当該契約又は計画は、「知る前契約・計画」とはいえないのでしょうか。
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金融庁、「インサイダー取引規制に関するQ&A」を分かりやすく改訂しました!(7月29日)
https://www.fsa.go.jp/news/30/shouken/20190729.html -
○ インサイダー取引規制に関するQ&A
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