公取委、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」の改定案及び
「企業結合審査の手続に関する対応方針」の改定案に対する意見募集を開始
――デジタル分野の企業結合案件へ対応――
公正取引委員会は10月4日、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」の改定案及び「企業結合審査の手続に関する対応方針」の改定案に対する意見募集を開始した。
公取委では、企業結合審査における独占禁止法の適用の考え方を示すものとして「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」(平成16年5月31日公表。以下「企業結合ガイドライン」)を、また、企業結合計画に係る審査の手続を明らかにするものとして「企業結合審査の手続に関する対応方針」(平成23年6月14日公表。以下「企業結合手続対応方針」)を策定しているところである。
近年、デジタル分野の企業結合案件に的確に対応する必要性が高まってきていること等から、成長戦略実行計画(令和元年6月21日閣議決定)等を踏まえ、企業結合ガイドライン及び企業結合手続対応方針を改定することとして、本改定案について11月5日まで意見を募集するものである。
今回の改定のポイントは、以下のとおりである。
企業結合ガイドラインの改定のポイント
以下の各点を明記することとしている。
1 一定の取引分野
- ○ デジタルサービスの特徴である多面市場の場合の一定の取引分野の画定の考え方
- ○ 価格ではなく品質等を手段とした競争が行われている場合の一定の取引分野の画定の考え方
- ○ デジタルサービス等に係る企業結合事案における一定の取引分野の画定の際の考慮事項
2 競争の実質的制限
- ○ デジタルサービスの特徴(多面市場、ネットワーク効果、スイッチングコスト等)を踏まえた競争分析の考え方
- ○ 研究開発を行っている企業が企業結合を行う場合の考え方
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○ 垂直型・混合型企業結合の考え方について、最近の審査結果を踏まえ詳細に記述しつつ、デジタル・プラットフォーマー等が重要なデータ等を有するスタートアップ企業等を買収する場合の考え方
- ・ データが市場で取引されている場合の他社へのデータ提供拒否
- ・ 買収されるスタートアップ企業等の新規参入の可能性の消滅 など
- ○ 複数事業者による競争を維持することが困難な場合の考え方
企業結合手続対応方針の改定のポイント
以下の各点を明記することとしている。
- ○ 被買収会社の国内売上高等に係る金額のみが届出基準を満たさない企業結合計画(届出不要企業結合計画)であっても、買収に係る対価の総額が大きく、かつ、国内の需要者に影響を与えると見込まれる場合には、当事会社に資料等の提出を求め、企業結合審査を行う旨
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○ 届出不要企業結合計画について、買収に係る対価の総額が400億円を超えると見込まれ、かつ、以下の①から③のいずれかを満たすなど当該届出不要企業結合計画が国内の需要者に影響を与えると見込まれる場合には、当該届出不要企業結合計画の当事会社は、公取委に相談することが望まれる旨
- ① 被買収会社の事業拠点や研究開発拠点等が国内に所在する場合
- ② 被買収会社が日本語のウェブサイトを開設したり、日本語のパンフレットを用いるなど、国内の需要者を対象に営業活動を行っている場合
- ③ 被買収会社の国内売上高合計額が1億円を超える場合
- (相談がない場合は、公取委は当事会社に資料等の提出を求め、企業結合審査を行う旨)
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公取委、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」の改定案及び「企業結合審査の手続に関する対応方針」の改定案に対する意見募集について(10月4日)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/oct/191004kaisei.html -
○ 別紙1【新旧対照表】企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針(案)
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/10/191004_kaisei1.pdf -
○ 別紙2【新旧対照表】企業結合審査の手続に関する対応方針(案)
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/10/191004_kaisei2.pdf -
○ 改定案の概要
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/10/191004_kaiseigaiyou.pdf