◇SH2856◇知的財産戦略本部、インターネット上の海賊版対策で総合的メニューと工程表――「2021年度以降の実施予定」まで、11の諸施策につき担当省庁ごとの対応を示す (2019/10/30)

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知的財産戦略本部、インターネット上の海賊版対策で総合的メニューと工程表

――「2021年度以降の実施予定」まで、11の諸施策につき担当省庁ごとの対応を示す――

 

 知的財産戦略本部(本部長・内閣総理大臣)は10月18日、同本部ウェブサイトにおいて「インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー及び工程表」を公表した。

 関係省庁となる内閣府・警察庁・総務省・法務省・文部科学省・経済産業省の連名で取りまとめられており、海賊版による被害を効果的に防いで著作権者等の正当な利益を確保するための対策について、3段階に分けて実施する諸施策と担当省庁を明記。1ページに集約した「総合的な対策メニュー」と具体的な対策ごと全11ページで示す「工程表」とに分かれている。公表当日に開かれた文部科学相の会見では、インターネット上の海賊版に関して政府一丸となって対応していくことを関係閣僚間で確認したとされ、その対応が本メニュー・工程表に基づいて進められていくことになる。

 施策は日程面から、「できることから直ちに実施」する第1段階、「導入・法案提出に向けて準備」するとされる第2段階、「他の取組の効果や被害状況等を見ながら検討」する第3段階の3つに区分され、いわゆる「メニュー」としては、⑴著作権教育・意識啓発、⑵正規版の流通促進、⑶インターネット上の海賊版対策の中心となる組織の設置、⑷国際連携・国際執行の強化、⑸検索サイト対策、⑹海賊版サイトへの広告出稿の抑制、⑺フィルタリング、⑻アクセス警告方式(検討)、⑻アクセス警告方式(導入)、⑼リーチサイト対策、⑽著作権を侵害する静止画(書籍)のダウンロード違法化、⑾ブロッキングを掲げた。これらのうち、⑴から⑻(検討)までを第1段階、⑻(導入)から⑽までを第2段階、⑾を第3段階と位置付けている。

 たとえば、文科省において担当する施策は上記⑴・⑶・⑸・⑼・⑽・⑾(他省庁と共同のものを含む)。⑴に係る「工程表」によれば、文科省では、これまでの進捗・効果として「都道府県職員、教職員、図書館等職員向けの著作権講習会を開催(共催を希望する自治体において広く国⺠を対象とした著作権セミナーを開催)」「平成30年10月に海賊版に関する普及啓発ポスターを作成し、全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、中等教育学校、高等専門学校(計36,845校)に配布」「平成31年1月より、従来実施してきた普及啓発施策を検証するための調査研究を実施」してきたとしており、2019年度の実施予定としては「前年度の検証結果を踏まえ、文化庁ウェブサイトにおいて、著作権教育教材を一元的に参照できるページを作成するなど、効果的な普及啓発を実施」するとしている。

 また、上記⑼・⑽については、「第198回国会への法案提出に向けた準備を進めていたが、提出を見送り」した経緯を踏まえ、今年度は「国⺠の皆様の声をより丁寧に伺いながら引き続き法案提出に向けた準備を進める」としているが、具体的には、9月30日に開始された文化庁著作権課による任意の「侵害コンテンツのダウンロード違法化等に関するパブリックコメント」の結果が待たれるところとなる(意見募集は10月30日まで)。

 文科相によると、本パブリックコメント後の方針については「パブリックコメントやその後の関係者・有識者を交えた検討等を通じて、深刻な海賊版被害への実行的な対策を講じることと、国民の正当な情報収集等に萎縮を生じさせないことという2つの要請のバランスをしっかりと並び立つように、適切な要件設定等を模索してまいりたい」としている。

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