◇SH3069◇契約の終了 第14回 複数契約の終了――フランス民法典における「失効 (caducité) 」の議論を中心に(下) 深川裕佳(2020/03/24)

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契約の終了
第14回 複数契約の終了――フランス民法典における
「失効 (caducité) 」の議論を中心に(下)

南山大学法務研究科教授

 深 川 裕 佳

 

Ⅱ フランス民法典における「失効 (caducité) 」

1 フランス消費法典における「割り当てられたクレジット (les crédits affectés)」

 フランスでは、かつては、貸付契約とこれによって融資を受けてなされる売買契約とは独立しており、売買契約の消滅にかかわらず、借主の貸主に対する債務は存続するものと考えられていた。しかし、1978年に、「クレジットの一定の作用範囲における消費者情報と保護に関する法律」(Loi n° 78-22. 以下「1978年1月10日の法律」という。)が制定されて[11]、融資を受けた契約(主契約)に関する訴訟が進行している場合には、裁判所は、これが解決されるまではクレジット契約の履行を停止することができるし、主契約が裁判上において解除または無効になったときには、貸付契約も当然に解除または無効になる(同法9条2項および3項)こととされた。また、クレジット契約の撤回(クーリング・オフ)権が行使された場合には、主契約は当然に解除される(同法13条)ことになった。

 その後、1993年には、これらの規定は、フランス消費法典に組み入れられて、同法典旧L. 311-20条からL. 311-28条に挿入され、今日では、これらは、ヨーロッパ消費者信用指令 (Directive 2008/48/EC)[12]の国内法化によって改正されている。すなわち、フランス消費法典では、割り当てられたクレジット契約の定義は、ヨーロッパ消費者信用指令の定義に沿って、次のように規定されている[13]

  1.   フランス消費法典L.311-1条
  2.   11°  割り当てられたクレジット契約、すなわち関連付けられたクレジット (contrat de crédit affecté ou contrat de crédit lié) は、特定の物品の供給または特定の役務の提供に関する契約に融資することにもっぱら用いられるクレジットであって、これらの二つの契約が一つの商業的取引 (une opération commerciale unique) を構成するものである。一つの商業的取引は、売主または役務提供者自身によりクレジットが提供される場合、または、第三者による融資の場合には、貸主がクレジット契約の締結若しくは準備のために、売主若しくは役務提供者の役務を利用するとき、又は、クレジット契約が関係する商品若しくは役務に特に言及をしているときに存在するものとみなされる。

 割り当てられたクレジット契約に適用される一連の規定は、2016年の消費法典の一部改正 (Ordonnance n° 2016-301) を経て、現在は、同法典L. 312-44条からL. 312-56条に置かれている。

 本稿のはじめに述べた日本の状況と比較すれば、特別法によって解決されてきた点では日本と共通するものの、フランスでは、売買契約やサービス提供契約とこれに対する与信契約(割り当てられたクレジット契約)との相互依存的な関係が認められている。それは、日本においては、売買契約等の取消しの場合には、個別クレジット契約の有効性に影響しないのと異なっている。

 

2 相互依存的契約・不可分契約における失効に関する判例法理の展開

 フランスでは、ここまでに述べた個別規定が適用される領域の外においても、一方の解除や無効が他方の契約の効力に影響を与えることを、破毀院判例が認めてきた[14]。すなわち、破毀院は、リース契約 (crédit-bail、通貨金融法典L. 313-7条) やファイナンス・リース契約 (location financière) について、売買・役務提供契約とクレジット契約との間に「相互依存的契約 (contrats interdépendants)」[15] 関係があるとか、又は、ボイラー室の運転契約とこれに必要な燃料供給契約が「不可分な契約の集合 (un ensemble contractuel indivisible) 」[16]を構成するとかいうように述べて、一方の解除・解約が他方の解除・解約・失効をもたらすことを認める。

 このような契約の相互依存性・不可分性は、一組の契約のうちの一つが消滅した場合にも、もう一つはその弁済期までに履行しなければならないことを定める分割条項 (clause de divisibilité) が当事者の間に合意されているとしても、認められる。すなわち、破毀院は、その態度は定まっていないとされるものの[17]、情報機器のリース契約とこの機器への画像配信契約とが三者間に締結されていて、画像配信契約が不履行になって、ユーザーがリース料の支払いを拒絶したために、その支払いを求めるリース会社がリース契約に含まれていた分割条項を援用したところ、このような条項は「契約の一般的な構造 (économie générale du contrat) 」[18]に反するとしたり、ファイナンス・リースを含む取引に加えられた同時発生的な、または、連続した契約は相互依存的であり、分割条項はこの相互依存性とは両立しない[19]としたり、生命保険契約とこのための消費貸借契約について不可分な契約の集合を構成することの当事者の共通の意思[20]を考慮したりして、分割条項が書き込まれなかったものとみなされると述べて、契約の相互依存性・不可分性を認めている。

 学説は、契約間の不可分性は、「契約の消滅 (aneantissement) の伝播方法のようであり、それで、ある契約が無効、解除又は解約され、それが他の契約に不可分に結びついたものであった場合に、全体が消滅する (disparaître) 」と述べて[21]、不可分契約の効果を説明する。そうであったとしても、この消滅の法的性質について判例の態度は、均質なものではなく、無効や解除・解約・失効のそれぞれの効果を導いてきたのであるが[22]、学説の指摘によれば、近年の判例は、失効を好むようになっており[23]、「賃貸借契約及びメンテナンス契約の解約は、これらの契約が複合的及び不可分的契約の集合 (un ensemble contractuel complexe et indivisible) を構成する場合には、売買契約の解除ではなく、ただその失効のみをもたらす」と述べる破毀院商事部2007年6月5日判決(n° 04-20.380)によって、このことが確認されたという[24]

 失効 (caducité) は、ローマ法に起源を有するものとされており、フランス民法典では、特に恵与法において個別に失効を定める条文が置かれていた。判例及び学説によって、この概念は発展させられ、今日では、解除や無効とは異なる独自のものと考えられるに至っている。すなわち、無効がフランス民法典1128条以下の契約の有効要件を満たしていない場合の制裁として、原則として裁判官の宣言を経て、契約を初めから全く存在しなかったものとして扱う(フ民現1178条[25])に対して、失効の場合には、確かに、当該契約は、その効果の発生が従属する要素を欠く範囲において、当然に存在しないものと扱われるものの、この要素の欠如の確認までは、契約の効果が生じているという違いがあるし、また、債務不履行に基づく解除又は解約が当事者の意思表示又は裁判官の宣言を原則として必要とする(フ民旧1184条3項[26]、現1225条から1228条)のに対して、失効は、契約の要素が失われるとともに、当事者の意思表示又は裁判官の宣言を必要とすることなく、当然に効果を生じるという違いがあると説明される[27]。近年の破毀院混合部2018年4月13日判決(nos 16-21.345 et 16-21.947) は、2016年フランス債務法改正前の民法典の適用事案についてではあるが、失効は、「契約の成立に影響を与えず、契約の履行が開始された瞬間に生じ得る」として、「リース契約の不履行に対する制裁ではなく、その契約の本質的要素のうちの一つ、すなわち、締結された主契約の消滅 (disparition) であるという点において、解除 (résolution) とも、解約 (résiliation) とも異なる」と述べている。これは、次に述べる改正法を意識したものであろう。

 

3 2016年フランス債務法改正による条文化

 2016年フランス債務法改正に向けて、学説は、失効に関する一般規定を民法典に設けることを提案していた(フランス民法改正草案(カタラ草案)1131条、1172条から1172-3条[28]、及びフランス民法改正草案(テレ草案)89条[29])。ただし、失効という概念は、解除や無効といった概念との区別において認識されてきたものであり、積極的に、失効それ自体を定義することは困難であるとも指摘されていた[30]

 最終的に、2016年契約法等改正では、学説の提案を受けて、「失効」に関する規定を設けることになった[31]。すなわち、フランス民法典第3編「財産取得」第3章「債務の源」第1節「契約」第2款「契約の成立」第4目「制裁」第2小款「失効 (La caducité)」において、 次の二つの条文が創設された。

  1.   フランス民法典 1186条 有効に成立した契約は、本質的要素 (éléments essentiels) の一つが消滅した場合には、失効する。
  2.   一つの同一の取引 (une même opération) を実現するために複数の契約の履行が必要な場合に、その一つが消滅 (disparaît) したときには、その消滅によって履行が不可能になった契約、および、消滅した契約の履行が当事者の同意の決定的な条件 (une condition déterminante) になった契約は、失効する。
  3.   しかしながら、失効 (caducité) は、これを援用された契約当事者がその契約について同意をした時にその全体の取引の存在を知っていたことを対抗された場合にのみ生じる。
  4.   1187条1項 失効は、契約を終了 (fin) させる。
  5.   それは、1352条から1352-9条に規定された条件〔原状回復の一般規定〕において、原状回復を生じさせ得る。

 ここにいう「契約の本質的要素」は、フランス民法典1128条に規定される「同意、能力、内容」という契約の有効要件と一致するわけではない[32]。学説は、「本質的要素は、当然的に当事者の同意の決定な要素であり、それがなければ契約を締結しなかったであろうというものである」[33]と説明するものがある。そして、「ここにおいて、ドイツにおける契約の基礎 (fondement du contrat) 、言い換えれば契約の存在理由 (raison d’être) の考えを発見することができる。それは、かつては、〔2016年債務法改正によって放棄される前までは〕契約のコーズであった」[34]という。そのほかの学説においても、「コーズは、さまざまな仮名を用い、名前を変えて復活する」として、1186条の「本質的要素」もその一つであると指摘するものがある[35]

 本稿において問題とする複数契約に関する失効は、前掲・フランス民法典1186条2項及び3項に規定されている。前述のように、契約の不可分性の効果について、判例は、前述の通り、無効や解除・解約、失効を導いていて一貫しなかったところ、債務法改正によって、失効という統一的な解決策が明文化されたのである[36]。同条に規定される一つの契約の「消滅」は、無効も解除も含む、より広い言葉であるとされる[37]。前掲・2016年2月10日のオルドナンスが掲載された官報[38]によると、同条2項および3項は、「相互依存的契約 (contrats interdépendants) に向けられたものであり、それは、〔2016年フランス債務法改正前の〕民法典において知られておらず、また、激しく揺れ動く論争を引き起こし、判例は、契約の相互依存の主観的概念(契約の締結時における当事者の意思を探求し、集合のうちのほかの契約についての契約者の認識を確認するもの)と客観的概念(実現される経済的取引 (l’opération économique) に基づくもの)との間で躊躇している」(〔 〕内は筆者。)という。ここでは、相互依存的契約についてのみ言及されているが、「不可分契約」も同様である[39]。そこで、フランス民法典1186条2項は、同一の取引 (une même opération) を実現するために複数の契約の履行が必要な場合であることに加えて、客観的基準として、契約の一つの消滅によって履行が不可能になったこと、または、主観的基準として、消滅した契約の履行が当事者の同意の決定的な条件になったことの二つの場合のいずれかであることを要求する[40]。学説には、「すべての場合において、複数の契約が同一の経済的取引に関係するときには、各契約は、ほかの契約の本質的要素となっている、言い換えれば、契約の複数性が当事者の同意の成立要素となっている」[41]と述べるものがある[42]。このように、学説では、フランス民法典1186条第2段落においても同条第1段落と同様に、本質的要素の消滅が契約の失効をもたらすもの考えられている[43]

 相互依存的契約・不可分契約は、同一当事者間において締結されている必要はない[44]。ただし、フランス民法典1186条3項は、契約当事者それぞれが全体的な取引を知っていることを要求している。このことは、破毀院判決(破毀院民事第3部2014年1月29日n° 12-28.836)によって判示されているとおりであるとされる[45]

 失効の効果は、前述のとおり、フランス民法典1187条において定められている。かつては、失効は、当然に生じるものであって(automaticité、自動性)、遡及効を持たない(non-rétroactivité、不遡及性)と考えられてきた[46]。2016年フランス債務法改正後においても、失効によって、将来に向かって契約の効力が奪われることについて疑いはない[47]。しかし、前掲の官報によると、「失効が適用される場面の多様性を考慮すると、本質的要素が失われた日および契約の種類によって異なる可能性があるために」、失効の効果を定めるフランス民法典1187条は、単に、失効の効果は、契約を終了させるものとするのみであって、学説において議論されてきた遡及効の問題[48]を解決するものではなく、遡及効を伴うものと従来は考えられてきた原状回復を生じる場合も排除されず、「各事件の状況に応じて遡及の便宜を評価することは、裁判官にゆだねられている」ものとされる。2016年フランス債務法改正前の民法典の適用事例ではあるが、前掲・破毀院混合部2018年4月13日は、「売買契約の解除は、その結果、解除の効果の日において、リース契約の失効をもたらし、かつ、契約の解約の場合に予定された条項は適用されない」と述べて、失効の遡及効を認めている[49]

 学説では、その効果に関して、失効によって履行期限にかかわりなく契約は終了するので、原則として過去への原状回復は生じないはずであるが、一方の契約が先履行であったりするような場合には、原状回復が生じ得ることが指摘されていたり[50]、たとえば二つの契約の履行が開始されて、この履行が相互に満足のいくものであったとすると、失効は将来に向かってしか効力を生じないし、これに対して、一方の契約のみの履行の場合又はその履行が満足のいくものでなかった場合には遡及効が生じると指摘されていたり[51]する。

 

Ⅲ むすびにかえて

 日本において、割賦販売法が適用される場面には、個別クレジット契約がクーリング・オフされたときには、売買契約もクーリング・オフされたとみなされている。これは、消費者保護という特別の目的からそのような効果が導かれているだけであることから、それ以外の領域においては、一つの契約の解除・解約、無効などによる消滅が他の契約の効力に影響するのか、影響するとすれば、どのような契約間についてそのような影響が認められるのかということが問題となる。この問題について、民法(債権関係)改正に向けた議論において、判例を条文化して、同一当事者間で締結された、その内容が相互に密接に関連付けられている複数契約の解除に関する規定の創設が検討されていたものの、要件が不明確であるなどの意見から、立法化は断念され、解釈にゆだねられることになった。

 これに対して、2016年フランス債務法改正によって、フランス民法典は、一つの契約の消滅が他の契約の失効をもたらし、これによって、当該契約が終了する場合があることを「失効」の効果として規定している。すなわち、同法典1186条によれば、相互依存的契約の失効には、①一つの同一の取引を実現するために、複数の契約が結び付けられており、②それらの契約が主観的または客観的な相互依存的関係にあり、③契約当事者が契約締結時に契約の集合 (ensemble contractuel) の存在を知っているという三つの要件[52]が必要とされている。この要件は、一方で、「本質的な要素」の消滅に基づく契約からの当事者の解放という要請と、他方で、事情を知らない契約当事者の保護という要請とを満たすものとなっているといえよう。学説には、改正によって創設された規定は不十分であるとの批判[53]があるものの、フランス民法典に示された前述の三つの要件は、二者間であれ、三者間であれ、異なる契約間の密接な関係を判断する基準を考察するのに資するものと考えられる。この要件は、割り当てられたクレジット契約の定義を定めるフランス消費法典L. 311-1条においても、共通するものと考えられる。すなわち、①特定の物品の供給または特定の役務の提供に関する契約に融資することにもっぱら用いられるクレジットであって、売買・役務提供契約と個別クレジット契約とが一つの商業的取引を構成することから契約間に結び付きがあること、及び、②(i)売主または役務提供者自身によるクレジットの提供であるか、又は(ii)第三者クレジットの場合には、貸主がクレジット契約の締結若しくは準備のために、売主若しくは役務提供者の役務を利用するとき、若しくは、クレジット契約が関係する商品若しくは役務に特に言及をしているときにあたることから主観的な相互依存的関係があるといえることである。③一つの商業的取引であることの認識は、(i)の当事者が完全に重なる場合には当然にあるものといえるし、(ii)売主・役務提供者がクレジット契約締結の代理人である場合やクレジット契約における商品若しくは役務への言及がある場合にも認められるために、フランス民法典1186条の要求する③要件は、フランス民法典L. 311-1条においては②要件に吸収されて規定されているものといえる。

 もちろん、「契約の失効」というフランス民法典の概念をわが国に直ちに持ち込むことは困難であろうし、さらに検討すべき理論的な問題も残されている[54]。そうであっても、フランス民法典に規定された契約間の相互依存的関係が認められる要件、及び、相互依存的契約においては一つの契約の消滅が他の契約の終了をもたらすという解決策は、複数契約の終了を検討するのに、参考になるものと考えられる。たとえば、本稿の冒頭にあげた平成8年判決の事案は二当事者間に関するものではあるが、フランス民法典に規定された相互依存的契約の失効の要件を参考にすれば、①「屋内プールを含むスポーツ施設を利用することを主要な目的としたいわゆるリゾートマンション」(本件マンション)の取引のためにリゾートマンションの売買契約(本件売買契約)とスポーツクラブ会員権契約(本件会員権契約)とが結び付けられており、②この二つの契約は、「屋内プールの完成の遅延という本件会員権契約の要素たる債務の履行遅滞により、本件売買契約を締結した目的を達成することができなくなった」ために、相互依存的関係にあり、③同一当事者において同一の機会に締結されたものであるから、「本件マンションの区分所有権の得喪と本件クラブの会員たる地位の得喪とは密接に関連付けられている」ことを当事者が認識していることは明らかである。同判決の事例とは異なって、AB間でリゾートマンションの売買契約が、BC間でスポーツクラブ会員権契約が締結されたとすれば、③Aが、これらの二つの契約が「屋内プールを含むスポーツ施設を利用することを主要な目的としたいわゆるリゾートマンション」取引を実現するためのものであることを知っているかどうかという認定が重要になるであろう。このような場合には、一方の契約だけを存続させても、契約当事者の実現しようとした取引の目的を全体として実現することができないのであり、相互依存的契約の拘束力からの当事者の解放を認めることが適切であろうと思われる。



[11] この立法について、都筑満雄『複合取引の法的構造』(成文堂、2007)193~203頁を参照。

[12] 同指令は、「関連付けられたクレジット (linked credit) 」という概念を用いて、「もっぱら、特定の物品の供給または特定の役務の提供に関する契約に融資するために利用され」、かつ、売買契約等とクレジット契約の「2つの契約が、その目的の観点から、一つの取引単位 (a commercial unit, une unité commerciale) を構成する」場合に(同指令3条)、物品売買や役務提供のために融資するクレジット契約が、これらの売買契約等の有効性の影響を受けることについて、次のように規定する。すなわち、「物品の供給又は役務の提供契約に関して、共同体法に基づいて、撤回(クーリング・オフ)権を消費者が行使した場合には、もはや関連付けられたクレジット契約に拘束されない」(同指令15条)。なお、同指令について、神作裕之「個別信用購入あっせん業者の法的地位――加盟店の不正な勧誘販売に伴う与信の防止と救済」クレジット研究41号(2009)179~194頁、谷本圭子「〔研究ノート〕2008年ヨーロッパ消費者信用指令(2008/48/EC)について」立命館法學336号(2011)1081~1139頁を参照。

[13] 都筑・前掲注[11]193~237頁における「関連貸付」、及び、白石大「フランス法におけるクレジットカード取引の諸問題」CCRクレジット研究3号(2014)147頁における「紐付き与信」を参照。

[14] 都筑・前掲注[11]203~222頁に詳細な紹介がなされている。

[15] 破段院商事部1995年4月4日n° 93-14.585、破毀院混合部2013年5月17日判決n° 11-22.927 及びn° 11-22.768など)。または、「不可分契約」(破毀院商事部2000年2月15日n° 97-19.793など)。

[16] 破毀院商事部2006年4月4日n° 02-18.277。

[17] François TERRÉ et al., Les obligations (Droit civil), 12e éd., Dalloz, 2018, n° 593.

[18] 破毀院商事部2000年2月15日n° 97-19.793。

[19] 破毀院混合部2013年5月17日n° 11-22.927 et n° 11-22.768。

[20] 破毀院民事第一部2014年10月1日n° 13-21.362。

[21] Mireille BACACHE, «Indivisibilité», Rép. civ. 2009, p. 1-30, n° 101.

[22] Ibid., nos 129-130. ピエール・クロック(野澤正充訳)「≪講演≫債務法改正後における契約の相互依存性」立教法務研究10号(2017)212頁。

[23] BACACHE, op. cit., n° 132.

[24] Ibid., n° 133.

[25] V. Jacques GHESTIN et al., La formation du contrat : l’objet et la cause, les nullités, t. 2, 4e éd., 2013, L.G.D.J., n° 2111.

[26] 齋藤哲志「フランスにおける契約の解除—解除訴訟における判事の役割を中心として—(2・完)」法協123巻8号(2006)1675頁を参照。

[27] Philippe MALAURIE et al., Droit des obligations, 9e éd., 2017, L.G.D.J., n° 668 ; Christian LARROUMET et Sarah BROS, Traité de droit civil, Les obligations, le contrat, t. 3, 9e éd., 2018, Economica, n° 480.

[28] Pierre CATALA, Avant-projet de réforme du droit des obligations et de la prescription, 2006, La documentation française, p. 33-34 (SIMLER).

[29] Dimitri HOUTCIEFF, «Les sanctions des règles de formation des contrats», in François TERRÉ, Pour une réforme du droit des contrats, 2009, Dalloz, nos 30-31.

[30] CATALA, op. cit., p. 33-34 (SIMLER).

[31] 失効の規定について、クロック(野澤訳)・前掲注[22]212~217頁、荻野奈緒ほか「フランス債務法改正オルドナンス(2016年2月10オルドナンス第131号)による民法典の改正」同志社法学69巻1号(2017)280頁、298頁を参照。

[32] Jean-Baptiste SEUBE, «L’article 1186 du projet: la caducité», RDC n° 3, 2015, p. 769 ; TERRÉ et al., op. cit., n° 591.

[33] SEUBE, ibid., p. 769 ; LARROUMET et BROS, op. cit., n° 481.

[34] LARROUMET et BROS, ibid., n° 481.〔 〕内は筆者が補った。

[35] クロック(野澤訳)・前掲注[22]207頁。

[36] クロック(野澤訳)・前掲注[22]212頁。

[37] TERRÉ et al., op. cit., n° 592 ; Mathias LATINA et Gaël CHANTEPIE, La réforme du droit des obligations, 2e éd., 2018, Dalloz, n° 494 (p. 441).

[38] Rapport au Président de la République relatif à l’ordonnance n° 2016-131 du 10 février 2016 portant réforme du droit des contrats, du régime général et de la preuve des obligations, JORF n° 0035 du 11 février 2016 texte n° 25, ‹https://www.legifrance.gouv.fr/eli/rapport/2016/2/11/JUSC1522466P/jo/texte›.

[39] Alain BÉNABENT, Droit des obligations, 18e éd., 2019, L.G.D.J., n° 333.

[40] クロック(野澤訳)・前掲注[22]208~210頁。TERRÉ et al., op. cit., n° 593.

[41] LARROUMET et BROS, op. cit., n° 495.

[42] V., aussi, LATINA et CHANTEPIE, op. cit., n° 494.

[43] LATINA et CHANTEPIE, op. cit., n° 494. クロック(野澤訳)・前掲注[22]207頁。

[44] BÉNABENT, op. cit., n° 333.

[45] TERRÉ et al., op. cit., n° 593.

[46] Rana CHAABAN, La caducité des actes juridiques, préf. Y. LEQUETTE, 2006, L.G.D.J., nos 19-21 ; GHESTIN et al., op. cit., nos 2071-2072.

[47] LATINA et CHANTEPIE., op. cit., n° 498.

[48] Ibid.

[49] TERRÉ et al., op. cit., n° 594.

[50] BÉNABENT, op. cit., n° 334.

[51] Dominique FENOUILLET et al., Droit des obligations, 14e éd., 2017, LexisNexis, n° 439 (p. 395-396).

[52] TERRÉ et al., op. cit., n° 593.

[53] クロック(野澤訳)・前掲注[22]216頁。

[54] 失効に関するフランスの破毀院判例及び学説の展開については、別稿(南山法学43巻2号(2019))において検討した。

 

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