2020年3月12日号
インドネシア:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 福 井 信 雄
はじめに
3月11日、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスの感染が「パンデミック(世界的流行)」に該当すると発表し、国から国への感染の広がりの制御が難しい状態にあるとの認識を示しました。感染拡大に伴う国内の各種法律問題に加え、海外に子会社・関係会社を抱える企業からの問い合わせも増えているため、速報ベースで各国の方針や影響拡大状況の概要につきお知らせ致します。なお、本記事は感染拡大が続く間、不定期に配信していきたいと思いますが、同感染症の拡大状況については日々状況が変化している中、本記事の内容がその後変更・更新されている可能性については十分ご留意の上参照ください。本記事の内容は、特段記載のない限り、2020年3月10日夜時点で判明している情報に基づいています。
全体概況 死亡者:1人、感染者数(累計):34人(3月11日現在) 2月上旬には法務人権大臣令を制定して緊急措置として中国人及び中国への渡航歴のある外国人の入国禁止措置をとった結果、2月の1ヶ月間は感染者が確認されなかったが、3月に入り徐々に感染者が増加しつつある。各国の感染拡大状況を踏まえ、3月8日からはイラン、イタリア、韓国へ直近14日以内に渡航歴のある外国人旅行者に対する入国禁止措置を追加で発動した。現在は、空港での体温検査や健康カードの提出に加えて、駅やオフィスビルでの体温検査等の対応が徐々に増えてきている。 |
主な政府発表
- ・ 法務人権大臣令2020年第3号(2020年2月5日制定)に基づく中国人及び中国への渡航歴のある外国人へのビザ発給の一時停止
- ・ ジョコウィ大統領によるインドネシア初の国内感染事例に関する声明(3月2日)
渡航情報
- ・ 中国人及び中国に渡航歴がある外国人の入国は禁止している。
- ・ 3月8日以降、イラン、イタリア、韓国へ直近14日以内に渡航歴のある外国人旅行者に対する入国が禁止されている(この措置に関する根拠法令は未施行)。
- ・ 日本への渡航及び日本からシンガポールへの入国については現状制限されていない。
- ・ 3月2日のジョコウィ大統領の声明のなかで、日本人からの感染を示唆する発言があったことから、在留日本人に対する嫌がらせ行為等が起きており、大使館が相談窓口を設置するなどして対応にあたっている。
(ふくい・のぶお)
2001年 東京大学法学部卒業。 2003年 弁護士登録(第一東京弁護士会)。 2009年 Duke University School of Law卒業(LL.M. )。 2009年~2010年 Haynes and Boone LLP(Dallas)勤務。
2010年~2013年10月 Widyawan & Partners(Jakarta)勤務。 2013年11月~長島・大野・常松法律事務所 シンガポール・オフィス勤務。 現在はシンガポールを拠点とし、インドネシアを中心とする東南アジア各国への日本企業の事業進出や現地企業の買収、既進出企業の現地でのオペレーションに伴う法務アドバイスを行っている。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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