2020年3月12日号
マレーシア:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 長谷川 良和
はじめに
3月11日、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスの感染が「パンデミック(世界的流行)」に該当すると発表し、国から国への感染の広がりの制御が難しい状態にあるとの認識を示しました。感染拡大に伴う国内の各種法律問題に加え、海外に子会社・関係会社を抱える企業からの問い合わせも増えているため、速報ベースで各国の方針や影響拡大状況の概要につきお知らせ致します。なお、本記事は感染拡大が続く間、不定期に配信していきたいと思いますが、同感染症の拡大状況については日々状況が変化している中、本記事の内容がその後変更・更新されている可能性については十分ご留意の上参照ください。本記事の内容は、特段記載のない限り、2020年3月10日夜時点で判明している情報に基づいています。
全体概況 死亡者:0人、感染者数(累計):129人(3月10日現在) マレーシアは、2月末日時点での感染者数は25名であったが、3月に入って以降、感染者数が急速に増加しており、3月10日時点でASEANの中ではシンガポールの次に感染者数が多い国となっている。2月末日時点で過去14日間以内に中国3州及び韓国の一部地域に滞在歴ある外国人の入国禁止等の対策を講じていたが、3月5日には、過去14日間以内にイタリア3州、日本の北海道、イラン3地域に滞在歴ある外国人の入国禁止も新たに決定し、水際対策を強化している。その最中、政治的対立に端を発してマハティール元首相が辞任し、ムヒディン氏が新首相に就任しており、今後はムヒディン政権下での感染症対策が注目される。 |
主な政府発表
- ・人的資源省が新型コロナウイルスを含む感染症予防対策に係るガイドラインを公表(2月6日)
- ・マハティール元暫定首相が新型コロナウイルスによる経済的打撃の軽減策として200億リンギット(約5,000億円)の経済刺激策を発表(2月27日)
- ・国王が国民に向けて保健省による感染者調査等への全面協力を要請(3月7日)
- ・在宅監視命令を受けた者は、法令遵守及び監視命令に基づく規則を要遵守という旨を保健省が発表(3月8日)
渡航情報
- ・2月末日時点で、過去14日間以内に中国3省(湖北省、江蘇省、浙江省)、韓国の大邱(テグ)広域市及び清道(チョンド)郡に滞在歴ある外国人(永住者、長期ビザ保有者等を除く)の入国を禁止。
- ・3月5日に、更にイタリア3州(ロンバルディア州、ヴェネト州、エミリア・ロマーニャ州)、日本の北海道、イラン3地域(テヘラン、コム、ギラン)に滞在歴ある外国人(永住者、長期ビザ保有者等を除く)の入国も一時的に禁止。
- ・全マレーシア国民に、全ての海外渡航、特に中国、韓国、日本、イタリア及びイランの上記公表された地域への渡航延期を勧告。
(はせがわ・よしかず)
東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科修了、Columbia University School of Law(LL.M.)卒業。三菱商事株式会社勤務、Allen & Gledhill LLP(シンガポール)出向を経て、2013年1月から長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。
シンガポールを拠点に、シンガポール、マレーシア、ミャンマーを含む東南アジアその他アジア地域において、進出、日常的な法務問題、M&A、ジョイント・ベンチャー、危機対応、エネルギー・インフラ案件等、日系企業が直面する法律問題を幅広くサポートしている。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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