マイナンバー法(番号法)に基づく社内規程案・委託契約書案の公表
弁護士法人三宅法律事務所
弁護士 渡 邉 雅 之
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成25年法律第27号。いわゆる「マイナンバー法」「番号法」)に基づく、個人番号の利用の開始である平成28年1月まで、既に1年を切っている。
すべての民間事業者は、給与所得・退職所得の源泉徴収票作成事務、雇用保険届出事務、健康保険・厚生年金保険届出事務などに関する番号法上の事務(個人番号関係事務)を行うことになる。番号法は、個人番号を含む個人情報(「特定個人情報」)に関して、個人情報保護法に比べて厳格な保護措置が求められる。
たとえば、特定個人情報の取得にあたっては、従業員などの本人確認義務が課され、また、保存期間の過ぎた個人番号は速やかに廃棄・削除することが求められている。特定個人情報の漏えいについては個人情報保護法にはない、厳格な罰則も科されている。
平成26年12月11日には、特定個人情報保護委員会から、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」、「(別冊)金融業務における特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」が公表された。とりわけ、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」の「(別添)特定個人情報に関する安全管理措置(事業者編)」においては、民間事業者に対して、①基本方針の策定、②取扱規程等の策定、③組織的安全管理措置、人的安全管理措置、物理的安全管理措置、技術的安全管理措置の整備を求めるもので、民間事業者には重い負担となる。
平成27年10月頃には、住民票に記載されている個人全員に対して、通知カードにより通知がなされる予定であり、民間事業者としてはこの時期から個人番号を受け入れることになるため(*現行番号法では、平成28年1月1日から個人番号の受け入れができることとされているが、法改正により受入れが可能となる模様)、この時期までに安全管理措置などの整備をすることが求められる。
基本方針や取扱規程等に関しては、残念ながら、特定個人情報保護委員会からはモデル規程は公表される予定はない。また、特定個人情報の取扱いに関する委託契約書についても、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」において厳格な要件が定められているが、モデル契約書は示される予定はない。
このような中で、民間事業者の実務に資するためという観点から、以下の規定案・委託契約書案を作成した。
・特定個人情報の適正な取扱いに関する基本方針(案)
・特定個人情報取扱規程(案)(中小規模事業者以外の事業者用)
・特定個人情報取扱規程(案)(中小規模事業者用)
・特定個人情報委託契約書(案)
詳細は以下のサイトで公表しているのでご覧いただきたい。今後もアップデートしたものを公表する予定である。
「マイナンバー法(番号法)に基づく社内規程案・委託契約書案の公表について」
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(わたなべ・まさゆき)
渡邉雅之 (弁護士法人三宅法律事務所)
1995年東京大学法学部卒業。2001年弁護士登録(54期)。成蹊大学法科大学院非常勤講師(金融商品取引法担当)、株式会社王将フードサービス社外取締役(平成26年6月~) 【弁護士会関係役職】日本弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員、第二東京弁護士会民事介入暴力被害者救済センター運営委員会委員 ほか 【主な取扱業務】金融規制法・コンプライアンス業務、プロジェクト・ファイナンス、保険法、民暴・マネロン対策、M&A業務、倒産関係業務 【関連著書】『Q&Aマイナンバー法成立で銀行実務がどのように変わるか』(ビジネス教育出版社、2013)
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