◇SH0225◇銀行員30年、弁護士20年 第4回「弁護士は高額所得者か」 浜中善彦(2015/02/20)

法学教育そのほか未分類

銀行員30年、弁護士20年

第4回 弁護士は高額所得者か

弁護士 浜 中 善 彦

1 

 かつて、弁護士は医者と並んで高額所得者といわれた時代があったが、実際はどうであろうか。
 インターネットの「年収ラボ」に、厚生労働省の平成25年の「賃金構造基本統計調査」による結果が掲載されている。それによると、平成25年の弁護士の平均年収は1,189万円、平均年齢は39.7歳である。職種別平均年収ランキングでは、以下のとおりとなっており、弁護士の年収がトップである。

  1 弁護士 1,189万円
  2 医師 1,072万円
  3 公認会計士 817万円
  4 税理士 817万円
  5 一級建築士 677万円

       
 上記の結果で見ると、いわゆる士業のなかでは、弁護士は高額所得者といえる。

 他方、上場企業の平均年収を見ると1位は情報・通信業のスクウェア・エニックス・ホールディングスの1,709万円である。弁護士の平均年収に近いのは、総合商社丸紅の1,187万円(平均年齢41.9歳)であるが、これは、順位では23位である。同業の三菱商事の平均年収は1,412万円(平均年齢42.9歳)で、第4位となっている。
 以上の結果から見ると、高学歴の割には、必ずしも弁護士はサラリーマンより高額所得とはいえないと思われる。

 実際、法曹養成制度改革で一番の争点は、弁護士増員についての議論ではないかと思われるが、弁護士会でも、増員反対論が優勢である。増員反対どころか、削減論さえ主張されている。
 その理由としては、増員による弁護士の質の低下や新規登録弁護士の就職難等の問題もあるが、それだけではなく、本音は、増員による既存弁護士の収入減なのではないかと思われる。とりわけ、地方の単位会の意見は東京とはかなり異なっているようであり、昨年11月の合格者3,000人を目指す国民大集会では、旭川のベテラン弁護士が、現在年収300万円であるとして、その窮状を訴えるという場面があった。

 銀行の場合、私の銀行員時代に比べると収入はむしろ減っているのではないかとも思われるが、やはり、サラリーマンのなかではかなりな高給取りであり、身分も安定している。少なくとも、病気その他で休職でもしない限り、前年の年収を下回るということはない。
 そういう意味では、一流大企業のサラリーマンの処遇は、弁護士に比べればはるかに安定しているし、恵まれているともいえる。

以上

タイトルとURLをコピーしました