◇SH0366◇銀行員30年、弁護士20年 第43回「司法修習生の厳しい経済情勢と就職難」 浜中善彦(2015/07/10)

法学教育そのほか未分類

銀行員30年、弁護士20年

第43回 司法修習生の厳しい経済情勢と就職難

弁護士 浜 中 善 彦

 

 日弁連が平成25年8~10月に行ったアンケート結果によると、新66期司法修習生のうち、約70%の修習生が経済的状況について不安を持っている。従来、司法修習生には、月額約20万円のほか、期末手当などが支給されてきたが(給費制)、平成22年からは、これが貸与制に変更された。しかし、日弁連の猛烈な反対運動その他もあって、その直後、給費制1年延長が決まった。しかし、平成23年11月に給費制は廃止され、無利子の貸与制の導入が決まった。アンケート結果では、8割以上の修習生が、何らかの形で貸与制を利用している。日弁連は、緊急提言のなかで給費制維持を求めているが、平成23年8月31日、法曹の養成に関するフォーラムの作成した「法曹の養成に関するフォーラム第一次取りまとめ(案)」では貸与制を基本としており、給費制の実現性についてはきわめて厳しいのが現状である。

 

 一方、弁護士業界をめぐる現在の状況はかってない厳しさに直面している。
 まず、合格者増による、弁護士の著しい増加である。平成26年10月1日現在の弁護士数は34,995人である。5年前の平成22年は28,789人、10年前の平成17年は21,185人であるので、10年前に比べると、約65%の増加である。15年前の平成12年は17,126人であったから、それに比べると2倍以上である。これに対して全新受事件の推移をみると、全事件では、平成25年3,614千件(うち民事・行政事件1,524千件、刑事事件等1,050千件)となっており、5年前の平成21年の4,597千件(うち民事・行政2,408千件、刑事1,215千件)に比較すると約21%の減少となっている。その結果、弁護士数の激増と相まって、弁護士の競争はかつてなく厳しいものになっている。

 

 そのことは、新規登録弁護士の就職状況にも現れてきている。弁護士になるためには、法律事務所のある地域の弁護士会を通じて、日弁連が備える弁護士名簿に登録しなければならない。しかし、平成24年第65期未登録弁護士数は一括登録時点で546人で、これは新規登録弁護士の26.3%である。60期の場合の未登録弁護士数は32人、3.3%であったが、その後毎年漸増し、62期で132人と100人を超え、64期では400人と毎年未登録者数とその割合とも増加している。65期未登録弁護士のうち52人(2.5%)は、約1年後も未登録のままである。弁護士資格があるのに未登録弁護士の数が多いのは、弁護士会に登録すると弁護士会費を納入する義務があるためである。弁護士会費は、各県の単位会ごとに異なるので一律には言えないが、おおむね月5万円前後、年間で約60万円程度かかる。したがって、就職できない弁護士は登録しないということになる。
 最近の新規登録弁護士の就職難を象徴するものとして、ノキ弁、ソク独ということがいわれるようになった。従来のイソ弁は、居候弁護士を表現するものだった。イソ弁は、とにもかくにも事務所に所属して、給料をもらって仕事ができた。しかし、ノキ弁もソク独も安定した収入が保障されているわけではないだけではなく、弁護士として必要な実務経験を積む機会もほとんどない存在である。そのような状況であるから、新人弁護士の初任給もかなり低下してきており、一部では、年収300万円という例もあるという。

以上

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