◇SH0242◇タイ:民商法典改正について 箕輪俊介(2015/03/05)

未分類

タイ:民商法典改正について

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 箕 輪 俊 介

 2014年11月13日に公布されていた民商法典改正法(第20版)が2015年2月11日付で施行され、保証及び抵当権に関する規定が大きく変更された。主たる改正理由は、不当な契約条件にて保証契約や抵当権設定契約が締結されることにより、保証人や抵当権設定者に過度の負担が生じることを防ぐこと、すなわち、保証人や抵当権設定者の保護の強化にあるとされる。もっとも、かかる目的を達成するために、金融機関等の債権者にとって重要な担保手段である連帯保証が禁止されるなどしており、金融機関等の債権者にとっては厳しい改正内容となっている。以下、改正部分のうち、保証に関する部分を概観する。

1 将来債務や条件付債務に対する保証

 今回の改正により、主債務の目的、主債務の種類、保証限度額及び主債務の期間(但し、継続的取引を保証する場合を除く。)を保証契約にて明記することが義務づけられた。かかる内容を保証契約に記載しない場合、かかる保証契約は無効となる。

2 連帯保証の禁止

 保証人が主債務者と連帯して債務を負担する旨の合意は無効とされる。今回の改正において最も大きな変更点であるといえる。保証人は常に催告の抗弁権及び検索の抗弁権を債権者に対して有することになる。

 上記に加えて、保証人が主債務者の有する抗弁権を援用することを禁止する合意が保証契約に含まれる場合、かかる保証契約は無効となる。

3  事前通知義務

 主債務者が債務不履行となった場合、債権者は保証人に対して債務不履行日から60日以内に通知をしなければならない。かかる通知が保証人に届くまで、債権者は保証人に対して保証債務の履行について請求をすることができない。かかる通知が60日以内に保証人に対して到達しない場合、保証人は保証債務から免責される。

4  改正の効力

 今回の改正は、原則として施行前に締結済みの保証契約の効力に影響を与えるものではないが、一部の規定は施行前に締結された契約の履行の場面で影響を与える。たとえば、上記の保証人への事前通知義務は、施行前に締結済みの保証契約にも適用される。

5  改正の影響

 今回の改正は、金融機関などの債権者側にとっては厳しい改正内容であるため批判の声も上がっている。施行直前にも、連帯保証の禁止の対象から金融機関が債権者となる場合を外す旨の案が検討されるなど、再度の改正も検討されているようである。このような状況の下、再度の改正が急ピッチで進む可能性もあるため、今後の動向は引き続き注目をしていく必要がある。

 

タイトルとURLをコピーしました