◇SH0877◇ シェアリングエコノミー検討会議、中間報告書を公表(2016/11/14)

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シェアリングエコノミー検討会議、中間報告書を公表

――「シェアリングエコノミー推進プログラム」をまとめ、自主的ルールのモデルガイドラインを示す

 

 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の「シェアリングエコノミー検討会議」(主査=安念潤司・中央大学大学院教授)は、11月4日、「シェアリングエコノミー検討会議中間報告書−シェアリングエコノミー推進プログラム−」をまとめた。

 検討会議では、シェアリングエコノミーを「個人等が保有する活用可能な資産等(スキルや時間等の無形のものを含む)を、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動」と定義。シェアリングエコノミーが、わが国に散在する遊休資産やスキル等の有効活用を進め、潜在需要を喚起し、イノベーションと新ビジネスの創出に貢献する可能性を有しているとして、その健全な発展に向けて民間団体等による自主的なルール整備等の必要な措置の検討を7月8日から行ってきたものである。

 中間報告書は、シェアリングエコノミーの特徴、期待される効果、発展に向けた課題を検討した上で、「シェアリングエコノミー推進プログラム」を提言している。

 推進プログラムに掲げられた具体的施策をみると、まず、「シェアリングエコノミーの安全性・信頼性の確保に向けた自主的ルールの整備促進」では、従来のような BtoC とは異なり、不特定多数の個人間の取引(CtoC)等を基本としていることから、「事故・トラブル時の不安」の低減が課題となっていると指摘。シェア事業者のすべてについて一定の安全性・信頼性を確保する必要があることから、シェア事業者による自主的ルールの整備・活用を促進することとしている。

 そして自主的ルールを策定する場合に盛り込むことが考えられる項目について、「シェアリングエコノミー・モデルガイドライン」を示している。

  1. ○ シェアリングエコノミー・モデルガイドラインの主な内容
  2. ⑴ サービス提供に関するリスク等の自己評価の実施
     • 生命・身体に危害を与える可能性評価および講ずる対策によるリスク低減効果の評価
     • 弁護士等の活用による明らかな法令違反の調査および法令違反とならない根拠の明確化
  3. ⑵ シェア事業者が遵守すべき事項
     • 登録事項(連絡手段を確保すること、安全確保が求められるサービスについては公的身分証を登録させる等本人確認を行うこと等)
     • 利用規約等(利用規約を明確に定めること、違法・権利侵害となるサービス提供を禁止すること等)
     • サービスの質の誤解を減じる事前措置(提供者が個人の場合はその旨を表示すること、マッチングプラットフォーム上に掲載された虚偽情報等を適切に削除すること等)
     • 事後評価(評価の仕組みを設けること、評価の仕組みの適正性を阻害する者を適切に排除するよう努めること等)
     • トラブル防止および相談窓口(相談窓口を設置すること、安全確保が求められるサービスは賠償責任保険等、万一の事故に備えること等)
     • 情報セキュリティ(従業員の教育、外部からの不正アクセス等の防止、最新情報の収集等)

 「グレーゾーン解消に向けた取組等」については、(1)「弁護士等の活用による明らかな法令違反の調査及び法令違反とならない根拠の明確化の推奨」として、シェア事業者の社会的なアカウンタビリティを高め、法令違反等によるレピュテーションリスク等を低下させることを推奨することとしている。(2)「グレーゾーン解消制度・企業実証特例制度の活用の推奨・支援」では、適法なサービスのマッチングであることを明確化したいシェア事業者に対して、活用を推奨し、必要な支援を行うこととしている(本制度は平成25年12月に成立した産業競争力強化法に基づく仕組みである)。(3)「現行制度の検証」としては、規制改革推進会議等の場において、シェアリングエコノミーの推進に関し、国家戦略特区等の活用も含め、規制のあり方について、消費者の利便性向上、安全性の確保、外部不経済、国際競争力の強化等に留意しつつ幅広く議論を行うこととしている。

 「シェアリングシティー構想の推進」については、(1)「自治体とシェア事業者の連携実証等」として、地方自治体とシェア事業者が連携して実証を行い、シェアリングエコノミーの地域への導入にあたって克服すべき課題を特定し、解決に資するベストプラクティスモデルを構築し、他の地域へ横展開することとしている。(2)「シェアリングエコノミー導入自治体の事例集(ベストプラクティス集)の作成・共有」としては、すでにシェアリングエコノミーを導入している自治体の導入事例をベストプラクティス集としてまとめて公開することで、自治体における導入推進を支援することとしている。そして、(3)「シェアリングエコノミー伝道師(仮称)」を、後述する「シェアリングエコノミー促進センター(仮称)」が任命して地方自治体等への派遣を行い、啓蒙活動を推進することとしている。

 「シェアリングエコノミーの普及・啓発」については、国内におけるシェアリングエコノミーの認知度・理解度を向上させて普及・促進を図るため、シェア事業者による展示・説明会、有識者による講演会等のシェアリングエコノミー普及シンポジウムを開催することとしている。

 以上のようなシェアリングエコノミーに関する施策を促進し、必要な情報提供・相談窓口機能を提供する「シェアリングエコノミー促進センター(仮称)」を政府部内に設置して、自主的ルールの普及・促進、関係府省庁との連絡調整、ベストプラクティスの紹介等を行うこととしている。同センターにおいては、毎年1回、シェアリングエコノミー推進プログラムの進捗状況をとりまとめて公表するとともに、サービスの進展状況を踏まえて、モデルガイドラインを含めて適宜施策を見直すこととしている。

  1. ○ 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)、 シェアリングエコノミー検討会議「中間報告書」(11月4日)
  2.   http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/shiearingu/chuukanhoukokusho.pdf
  3. ○ シェアリングエコノミー検討会議「中間報告書(概要)」(11月4日)
  4.   http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/shiearingu/gaiyou.pdf
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