◇SH1222◇匿名化された個人情報の扱い(3) ~個人情報?匿名加工情報?統計情報?非個人情報?~ 渡邉雅之(2017/06/09)

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匿名化された個人情報の扱い(3)

~個人情報? 匿名加工情報? 統計情報? 非個人情報?~

弁護士法人三宅法律事務所

弁護士 渡 邉 雅 之

 

5 匿名加工情報の取扱い

 匿名化した情報の第三者提供については、個人データ(個人情報)としての扱いを受けると、上記で説明したとおり、匿名化した情報に係る本人の同意を得るか、または、オプトアウト手続によらなければならなくなります。

 このような場合、匿名加工情報の規律に従えば本人の同意やオプトアウト手続による必要はなくなります。

(1) 匿名加工情報の定義

 「匿名加工情報」とは、次に掲げる個人情報の区分に応じて当該各号に定められる措置を講じて特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元できないようにしたものです。

  1. ① 個人識別符号以外の個人情報(法2条1項1号)
    当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること(当該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)
  2. ② 個人識別符号(法2条1項2号)が含まれる個人情報
    当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。) 

(2) 匿名加工情報の規律

 匿名加工情報については、作成者である個人情報取扱事業者に対して、①適正加工義務、②加工方法等情報について安全管理措置、③作成した匿名加工情報に関する公表義務、④自ら取り扱う場合の識別行為の禁止、⑤匿名加工情報の安全管理措置等(努力義務)が課されますが、匿名加工情報の第三者提供には本人の同意が必要ありません。その代わり、⑥匿名加工情報を第三者提供することを明示・公表する義務があります。(法36条)

 匿名加工情報の提供を受けた匿名加工情報取扱事業者は、(a)識別行為の禁止(法38条)、(b)匿名加工情報の安全管理措置等(努力義務)(法39条)を負いますが、匿名加工情報の第三者提供については本人の同意は必要ありません。その代わりに(c) 匿名加工情報を第三者提供することを明示・公表する義務があります(法37条)。

 

【匿名加工情報の作成者・受領者・提供者に適用されるルール】

 

(3) 容易照合性と匿名加工情報

 容易照合性と匿名加工情報の関係については、『個人情報保護委員会事務局レポート:匿名加工情報 パーソナルデータの利活用促進と消費者の信頼性確保の両立に向けて』(以下「委員会レポート」といいます。)[1]において、以下のとおり記載されています(下線は筆者によるもの)。

匿名加工情報は、特定の個人を識別することができず、作成の元となった個人情報を復元することができないように加工したものであり、さらに、個人情報に係る本人を識別することを禁止する等の制度的な担保がなされていることから、作成の元となった個人情報を通常の業務における一般的な方法で照合することができる状態にある(すなわち容易照合性がある)とはいえず、個人情報に該当しないとされるものである。(同レポート14頁)

 

 

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