公取委、アマゾン・サービシズ・インターナショナル・インクからの電子書籍関連契約に関する報告について公表
--Amazon.co.jpウェブサイト上での電子書籍関連契約における「同等性条件」について自発的な措置を講ずる--
公正取引委員会は8月15日、Amazon.co.jpウェブサイト上で電子書籍の配信事業を行っているアマゾン・サービシズ・インターナショナル・インク(以下「ASII」)から、同ウェブサイト上で配信される電子書籍に関する出版社・流通業者(以下「出版社等」)との間の契約(以下「電子書籍関連契約」)において定められている「同等性条件」(以下「本件同等性条件」)について、自発的な措置を講じるとの報告を受けたことを公表した。
公取委では、上記の措置により、本件同等性条件の競争への影響に係る懸念は解消するものと判断したとしている。
アマゾンの関係では、6月1日に、アマゾンジャパン合同会社がAmazonマーケットプレイスの出品者との間の出品関連契約において、価格等および品揃えの同等性条件を定めることにより出品者の事業活動を制限している疑いがあるのではないかとの審査に関し、アマゾン側から「自発的な措置を速やかに講じる」との申出がなされ、その内容を検討したところ、上記の疑いを解消するものと認められたことから、審査を終了することを公表しているところである。
以下、今回のASIIからの電子書籍関連契約に関する報告についての公取委の公表内容の概要を紹介する。
アマゾン・サービシズ・インターナショナル・インクからの電子書籍関連契約に関する報告について
1 本件同等性条件
本件同等性条件は、出版社等に対し、Amazon.co.jpウェブサイト上で配信される電子書籍に係る[1]出版社等の一般消費者等に対する小売価格、[2]出版社等のASIIに対する卸売価格、[3]販売促進用の当該小売価格、当該卸売価格及びコンテンツ、[4]品揃え、[5]ビジネスモデル(例:定額配信やレンタル)並びに[6]機能(例:操作性)を含む事項について、出版社等と他の電子書籍配信事業者又は同事業者が運営する電子書籍配信プラットフォームにおける一般消費者等との取引(以下「他の取引」という。)との同等性を義務付けるものである。
2 同等性条件の競争への影響に係る懸念
公正取引委員会は、電子書籍配信事業者が出版社等に同等性条件を課す場合には、例えば次のような効果が生じることにより、同等性条件が競争に影響を与えることを懸念する。
- ⑴ 出版社等による他の取引における電子書籍の価格の引下げやサービスの向上を制限するなど、出版社等の事業活動を制限する効果
- ⑵ 当該電子書籍配信事業者による競争上の努力を要することなく、当該電子書籍配信事業者が運営する電子書籍配信プラットフォームにおける電子書籍の価格を最も安くし、サービスを最も良くするなど、電子書籍配信事業者間の競争を歪める効果
- ⑶ 電子書籍配信事業者による出版社等向け取引条件の向上が、出版社等による電子書籍の価格の引下げやサービスの向上につながらなくなるなど、電子書籍配信事業者のイノベーション意欲や新規参入を阻害する効果
3 ASIIによる自発的な措置
ASIIによる自発的な措置は、次のとおりである。
- ⑴ ASIIは、本件同等性条件に係る出版社等の義務に係る規定を行使しない。
- ⑵ ASIIは、平成29年8月4日までに、上記⑴の措置を講じたことを我が国における出版社等に通知する。
- ⑶ ASIIは、上記⑵の措置を講じた後に締結する電子書籍関連契約において、本件同等性条件を定めない。
- ⑷ ASIIは、上記⑴から⑶の措置を最低5年間実施する。
なお、公正取引委員会は、ASIIから、上記[2]の措置を講じた旨の報告を受けた。
4 公正取引委員会の対応
公正取引委員会は、上記3の措置が上記2の懸念を解消するものと判断した。また、当委員会は、ASIIに対し、上記3の⑴の措置に伴って電子書籍関連契約における本件同等性条件以外の条件が変更される場合には、その変更が出版社等にとって不利益なものとならないよう、その変更について出版社等と十分に協議するよう申し入れた。
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○ 公取委、アマゾン・サービシズ・インターナショナル・インクからの電子書籍関連契約に関する報告について(8月15日)
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/aug/170815.html -
参考
SH1231 公取委、アマゾンジャパン合同会社に対する独占禁止法違反被疑事件の処理 粉川知也(2017/06/13)
https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=3803321