◇SH1796◇国税庁、「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」の課税関係についての回答(2018/04/25)

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国税庁、「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」の課税関係についての回答を公表

――非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象――

 

 国税庁は4月16日、「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」の課税関係についての回答を、タックスアンサーにおいて公表した(No.1525)。

 仮想通貨交換業者のコインチェックにおける仮想通貨NEMの流出(不正送金)で、同社は3月12日に「不正に送金された仮想通貨NEMの保有者に対する補償について」を公表し、同日中に日本円で補償を行うとしていたが、課税関係については、「国税当局に相談を開始した段階であり、取扱いが判明次第アナウンスする」旨を明らかにしていたものである。

 国税庁によると、「仮想通貨を預けていた仮想通貨交換業者が不正送信被害に遭い、預かった仮想通貨を返還することができなくなったとして、日本円による補償金の支払を受けた」場合について、「一般的に、顧客から預かった仮想通貨を返還できない場合に支払われる補償金は、返還できなくなった仮想通貨に代えて支払われる金銭であり、その補償金と同額で仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となることから、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれている」と考えられるとして、「(このような)補償金は、非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象」となる、などとしている。

 今般の国税庁の「回答」を受けて、コインチェックも補償金の課税関係の取扱いについて公表している。

 以下、国税庁の回答とコインチェックの公表内容を紹介する。

 

○ 国税庁タックスアンサーNo.1525「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」
 (平成30年4月1日現在法令等)

《問》
 仮想通貨を預けていた仮想通貨交換業者が不正送信被害に遭い、預かった仮想通貨を返還することができなくなったとして、日本円による補償金の支払を受けました。
 この補償金の額は、預けていた仮想通貨の保有数量に対して、返還できなくなった時点での価額等を基に算出した1単位当たりの仮想通貨の価額を乗じた金額となっています。 この補償金は、損害賠償金として非課税所得に該当しますか。

《答》
 一般的に、損害賠償金として支払われる金銭であっても、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるときは、非課税にならないものとされています。
 ご質問の課税関係については、顧客と仮想通貨交換業者の契約内容やその補償金の性質などを総合勘案して判断することになりますが、一般的に、顧客から預かった仮想通貨を返還できない場合に支払われる補償金は、返還できなくなった仮想通貨に代えて支払われる金銭であり、その補償金と同額で仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となることから、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれているものと考えられます。
 したがって、ご質問の補償金は、非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象となります。
 なお、補償金の計算の基礎となった1単位当たりの仮想通貨の価額がもともとの取得単価よりも低額である場合には、雑所得の金額の計算上、損失が生じることになりますので、その場合には、その損失を他の雑所得の金額と通算することができます。
(所法35、36)

 

○ コインチェック、「仮想通貨NEM保有者に対する補償金の課税関係について」

 仮想通貨NEMの不正送金に係る補償金の課税関係につきまして、国税当局に相談をした結果、以下のとおりの回答がありましたので、お知らせをさせていただきます。

《補償金が仮想通貨NEMの取得価額を上回る場合》
 補償金が仮想通貨NEMの取得価額を上回る場合は、その上回る部分が課税対象となり、原則として雑所得となります。

《補償金が仮想通貨NEMの取得価額を下回る場合》
 補償金が仮想通貨NEMの取得価額を下回る場合は、その下回る部分が雑所得の計算上、損失が生じていることとなりますので、その損失を他の雑所得と通算することができます(給与所得などの他の所得と通算することはできません。)。

  1. ※ 本件補償金は、平成30年に発生した事実に基づいて、同年中にお支払いしたものです。本件による所得は、原則として平成30年分の確定申告(申告期限は平成31年3月15日)が必要となります。
  2. ※ 国税庁ホームページに、本件に関連する課税関係が掲載されていますので、ご参照ください。

 

 

  1. 国税庁、「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」(4月16日)
    http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1525.htm
  2. コインチェック、「仮想通貨NEM保有者に対する補償金の課税関係について」(4月16日)
    http://corporate.coincheck.com/2018/04/16/54.html
  3.  
  4. コインチェック、「不正に送金された仮想通貨NEMの保有者に対する補償について」(3月12日)
    http://corporate.coincheck.com/2018/03/12/47.html
  5.  
  6. 参考
    SH1648 コインチェックにおける仮想通貨流出事件の推移--流出から業務改善命令に係る報告書の提出まで--(2018/02/16)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=5462801

 

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