最二小判 令和4年6月24日 投稿記事削除請求事件(草野耕一裁判長)
【判示事項】
インターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワークにおいてある者のプライバシーに属する事実を摘示するメッセージが投稿された場合にその者が上記情報ネットワークの運営者に対して上記メッセージの削除を求めることができるとされた事例
【判決要旨】
インターネットを利用して短文の投稿をすることができる情報ネットワークにおいて、ある者が建造物侵入の被疑事実により逮捕されたというその者のプライバシーに属する事実を摘示するメッセージの投稿がされた場合に、上記の逮捕の事実が、不特定多数の者が利用する場所において行われた軽微とはいえない犯罪事実に関するものであったとしても、次の(1)~(4)など判示の事情の下においては、上記の者の上記逮捕の事実を公表されない法的利益が上記メッセージを一般の閲覧に供し続ける理由に優越すると認められ、上記の者は、上記情報ネットワークの運営者に対し、上記メッセージの削除を求めることができる。
- ⑴ 上記逮捕から約8年が経過し、上記の者が受けた罰金刑の言渡しはその効力を失っており、上記メッセージに転載された上記逮捕の事実の報道記事も報道機関のウェブサイトにおいて既に削除されている。
- ⑵ 上記メッセージは、上記情報ネットワークの利用者に対して上記逮捕の事実を速報することを目的として投稿されたものとうかがわれ、長期間にわたって閲覧され続けることを想定して投稿されたものであるとは認め難い。
- ⑶ 上記の者の氏名を条件として上記情報ネットワーク上を検索すると検索結果として上記メッセージが表示される。
- ⑷ 上記の者は、公的立場にある者ではない。
(補足意見がある。)
【参照条文】
民法2条、198条、199条
【事件番号等】
令和2年(受)第1442号 最高裁判所令和4年6月24日第二小法廷判決 投稿記事削除請求事件(民集76巻5号1170頁)破棄自判
原 審:令和元年(ネ)第4733号 東京高裁令和2年6月29日判決
第1審:平成30年(ワ)第66号/平成30年(ワ)第40232号 東京地裁令和元年10月11日判決
【判決文】
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91265
【解説文】
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