中国:日本における重要土地等調査法の制定及び中国からの不動産投資に対する影響(下)
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 鹿 はせる
弁護士 鈴 木 航 太
3 中国からの対日投資など実務への影響
中国では、国内の不動産価格の高騰等を理由として、近年海外への不動産投資が活発に行われてきたが、円安等の理由から直近では日本の不動産及び不動産を保有する企業に対する投資も増えている。
重要土地等調査法が対日投資に与える影響としては、単純な不動産投資の場合、特別注視区域内の土地等を取得する場合には、事前に売買の届出を行う必要がある。また、既に取得した土地等が注視区域内にある場合は、当該土地等の利用方法に関して当局より調査を受ける可能性があり、また、本法が定める「機能阻害行為」を行わないよう留意する必要がある。
また、M&A取引において、対象会社が保有又は使用する不動産が注視区域又は特別注視区域に指定され、措置勧告・命令の対象となることで、対象会社の事業を継続するにあたり重大な影響が生じるおそれがある。そのため、デューディリジェンスにおいて調査の上、適切に契約上の手当を行うことが必要となる可能性がある。加えて、株式譲渡契約等のM&A契約において、対象会社が保有又は使用する不動産が注視区域又は特別注視区域に指定されていないこと等について表明保証の対象とすることも考えられる。
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(ろく・はせる)
長島・大野・常松法律事務所東京オフィスパートナー。2006年東京大学法学部卒業。2008年東京大学法科大学院修了。2017年コロンビア大学ロースクール卒業(LL.M.)。2018年から2019年まで中国大手法律事務所の中倫法律事務所(北京)に駐在。M&A等のコーポレート業務、競争法業務の他、在中日系企業の企業法務全般及び中国企業の対日投資に関する法務サポートを行なっている。
(すずき・こうた)
2017年慶應義塾大学卒業。2018年弁護士登録(第一東京弁護士会)、長島・大野・常松法律事務所入所。M&A案件を中心とする企業法務全般に従事するとともに、日系企業による海外進出や海外企業の日本での事業活動をサポートしている。2023年4月よりシンガポール・オフィス勤務。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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