インドネシア:印紙税法の改正
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 前 川 陽 一
2020年9月29日、インドネシア国会は印紙税法(1985年法律第13号)の改正法案を可決した。これまで政令により印紙税の額などが改定されたことはあったが、印紙税法そのものの改正は制定以来実に35年ぶりとなる。
改正法により、従前は6000ルピアと3000ルピアの2種類であった印紙額面は、1万ルピアに一本化される。また、領収書や債務の返済証書について、課税対象となる額面金額が、従前の25万ルピア超から500万ルピア超に引き上げられた。その他、改正前後における課税文書及び印紙税額の相違は以下のとおりである。
改正前 | 改正法 | |
課税文書 |
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印紙税額 |
a、b、c及びfの文書は一律6000ルピア。 d及びeの文書は、その記載金額が
gは、額面金額に関係なく一律3000ルピア。 hは、その記載金額が
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全ての課税文書について、一律1万ルピア |
さらに改正法では、情報通信技術の発達とペーパーレス化の流れを受けて、「文書」の定義に電子文書を含む旨を明記した上、紙面に貼付する従来型の印紙に加え、電子印紙、デジタル技術を利用したその他の形式の印紙に関する規定を新設した。これにより、電子ファイル形式の文書であっても、上記課税文書に該当する場合には、印紙税の対象となることが明確になった。
改正法は、大統領の署名を経て(法案可決から30日以内に署名しない場合には、その期間経過後に)正式に成立し、2021年1月1日から施行される。現行の印紙税法は、改正法施行の時に廃止される。
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(まえかわ・よういち)
1998年東京大学法学部卒業。2006年東京大学法科大学院修了。2007年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2013年Northwestern University School of Law卒業(LL.M.)。2013年~2016年長島・大野・常松法律事務所ジャカルタ・デスク(Soemadipradja & Taher内)勤務。2019年10月~長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。
現在はシンガポールを拠点とし、インドネシア及び周辺国における日本企業による事業進出および資本投資その他の企業活動に関する法務サポートを行っている。
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