中国:個人情報越境移転標準契約の留意点(上)
――中国版SCCの正式公表――
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 川 合 正 倫
外国法弁護士 艾 蘇
はじめに
2023年2月24日に、中国国家インターネット情報弁公室は、昨年6月の意見募集を経て[1]、「個人情報越境標準契約弁法」(以下、「本弁法」という。)及びその別紙として「個人情報越境移転標準契約」(以下、「標準契約」という。)を正式に公表した[2]。
現行の中国個人情報保護法(以下、「個情法」という。)の下では、個人情報取扱者が個人情報を中国域外に提供するためには、個情法38条1項に定める以下の4要件のいずれかを満たす必要がある(図表1)。本弁法はその要件の1つである標準契約の締結に関する実施細則を規定するものとなり、実務上活用されることが期待されている。
個情法38条 |
条 文 |
主な規制法令 |
1項 |
主管当局による安全評価に合格した場合 |
「データ越境移転安全評価弁法」[3] |
2項 |
主管当局の規定に従い専門機構による個人情報保護の認証(以下、「保護認証」という。)を取得している場合 |
「個人情報保護認証実施規則」[4] 「ネットワーク安全標準実践ガイドライン 個人情報越境移転処理活動安全認証規範(TC260-PG-20222A)」[5] |
3項 |
主管当局の定める標準契約に従って域外受領者との間で契約を締結し、双方の権利及び義務を合意した場合 |
本弁法、標準契約 |
4項 |
法律、行政法規又は主管当局の規定するその他の条件を満たす場合 |
N/A |
図表1
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(かわい・まさのり)
長島・大野・常松法律事務所上海オフィス一般代表。2011年中国上海に赴任し、2012年から2014年9月まで中倫律師事務所上海オフィスに勤務。上海赴任前は、主にM&A、株主総会等のコーポレート業務に従事。上海においては、分野を問わず日系企業に関連する法律業務を広く取り扱っている。クライアントが真に求めているアドバイスを提供することが信条。
(Su・Ai)
2017年九州大学法学部交換留学。2018年華東政法大学法学部及び日本語学部卒業。2022年東京大学大学院法学政治学研究科卒業、長島・大野・常松法律事務所入所。日中間の法律業務を中心に、クロースボーダー取引、企業再編、紛争解決等、幅広い分野で法務サポートを行っている。
(※中国での律師登録は行っていません。)
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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