知財高裁大合議(ドワンゴ対FC2事件 控訴審)
国外サーバからのファイル配信行為に関し、システム発明の「生産」該当性を肯定
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 吉 田 崇 裕
1 はじめに
知財高裁特別部は、2023年5月26日、サーバとネットワークを介して接続された複数の端末装置を備えるシステムの発明について、日本国外に存在するサーバと日本国内に存在するユーザ端末からなるシステムを新たに作り出す行為が、上記発明の実施行為として、特許法2条3項1号所定の「生産」に該当すると判断し、原審判決を一部変更する判決(以下「本判決」という。)を下した[1][2]。
本件は、コメント機能付き動画配信の方法等に関して複数の特許権を有する株式会社ドワンゴ(以下「ドワンゴ」という。)が、「FC2動画」等の動画配信サービス(以下「FC2サービス」という。)を提供するFC2, INC.(以下「FC2」という。)らに対して、特許権侵害に基づく差止めおよび損害賠償を求めて提起した一連の事件の一つである。
本判決に先行して昨年7月20日に知財高裁が判決を下した事件(以下「第1事件」という。)と、本事件(以下「第2事件」という。)における対象特許、経過等の概要をまとめると、下図のとおりである[3]。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(よしだ・たかひろ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2018年東京大学工学部卒業。2020年東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻修士課程修了。2022年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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