マレーシア:マレーシアと知的財産法制
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 長谷川 良 和
はじめに
マレーシアは、近年、半導体製造やデータセンター誘致等に力を入れており、その法的インフラとして知的財産のインフラ整備や知的財産への投資を奨励している。本稿では、マレーシアの知的財産インフラという観点から、マレーシアの知的財産法制を鳥瞰し、次いで主要な知的財産権として、特許権、商標権及び著作権の保護制度の概要について簡潔に紹介する。
1 知的財産法制の鳥瞰
マレーシアでは、制定法により、特許権・実用新案権、商標権、著作権、工業意匠、地理的表示および半導体集積回路の回路配置が保護されており、営業秘密等はコモン・ローと呼ばれる判例法により保護されている。マレーシアは、World Intellectual Property Organisation(WIPO)の加盟国であり、また、パリ条約、ベルヌ条約、TRIPsおよび特許協力条約も批准している。マレーシアにおける知的財産権に関する事項は、Intellectual Property Corporation of Malaysia(My IPO)が所管している。
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(はせがわ・よしかず)
東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科修了、Columbia University School of Law(LL.M.)卒業。三菱商事株式会社勤務、Allen & Gledhill LLP(シンガポール)出向を経て、2013年1月から長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。
シンガポールを拠点に、シンガポール、マレーシア、ミャンマーを含む東南アジアその他アジア地域において、進出、日常的な法務問題、M&A、ジョイント・ベンチャー、危機対応、エネルギー・インフラ案件等、日系企業が直面する法律問題を幅広くサポートしている。
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