SH4943 ベンチャーキャピタル向けのプリンシプルの策定を検討するためのベンチャーキャピタルに関する有識者会議が開催 菅隆浩/稲村将吾(2024/05/23)

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ベンチャーキャピタル向けのプリンシプルの策定を検討するためのベンチャーキャピタルに関する有識者会議が開催

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 菅   隆 浩

弁護士 稲 村 将 吾

 

1 はじめに

 この度、「民間有識者等の知見をいかしつつ、ベンチャーキャピタル向けのプリンシプルに盛り込むべき事項について提言を得ること」を目的として、ベンチャーキャピタルに関する有識者会議(第1回)が、2024年4月30日に開催された。[1]

 当会議は、「金融審議会 市場制度ワーキング・グループ・資産運用に関するタスクフォース報告書」(2023年12月12日付)(以下「タスクフォース報告書」という。)[2]において、ベンチャーキャピタル(以下「VC」という。)について、長期運用に資するアセットクラスとしての魅力を高め、VC業界の発展を後押しするため、グローバルな実務等を踏まえ、VCの運営に求められる基本的な考え方を示すプリンシプルを定めることが適当であるとの提言がなされたこと等を契機として設置されたものである。

 VCに関しては、タスクフォース報告書において、「GPの利益相反管理を含むガバナンス、GPがLP(リミテッド・パートナー。ファンドへの投資者)に提供する情報等に関する課題が挙げられる。」、「VCの投資のエグジットがスタートアップ企業の上場(IPO)に偏っており、いわゆる小粒上場の要因になっているとの指摘や、上場後にVCの経営サポート等がなくなることによりスタートアップ企業の持続的成長に向けた支援が途絶えてしまうことも課題」とされており、これらの課題の解決に向けたVC向けのプリンシプルとなることが想定される。

 他方で、第1回の会議に際しては、未公開企業の起業・成長・発展のための投資支援・経営支援等を行っている一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会(2002年設立)から、「アセットクラスとしてのVCが日本より発展している米国等の海外においては、規制当局がVCの行為規範(プリンシプル等)を定める例はなく」、「『VCプリンシプル』なるものを策定することは、グローバルなスタンダードに反するだけでなく、多様なLPやGPの健全な発展を阻害しかねず、『スタートアップ推進5か年計画』(2022年11月)の方向性にも反する」との理由から「各論の行為規範をここで定めてはならない」と意見が述べられており、VCプリンシプルが取り扱うトピックという基本的な事項から、今後、議論がなされていることが想定される。[3]

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(すが・たかひろ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2009年 京都大学法科大学院卒業。2010年弁護士登録(第二東京弁護士会)。2014年7月~2015年6月 外資系証券会社投資銀行本部出向勤務。2016年8月~2017年5月米国University of California, Berkeley, School of Law (LL.M.)へ留学。

 

(いなむら・しょうご)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2014年創価大学法学部卒業。2017年東京大学法科大学院卒業。2019年弁護士登録(第二東京弁護士会)。

 

<事務所概要>
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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

 

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