SH5115 マレーシア:ビジネス・トラストの制度とその発展 松本岳人(2024/09/27)

そのほか

マレーシア:ビジネス・トラストの制度とその発展

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 松 本 岳 人

 

1 ビジネス・トラストの法規制及び仕組み

 マレーシアでのビジネス・トラストの制度は、資本市場・サービス法(Capital Markets and Services Act 2007。以下「CMSA」という。)の改正によって導入され、マレーシア証券委員会(Securities Commission Malaysia)が2012年に発行したビジネス・トラストガイドライン(Business Trusts Guidelines)にその詳細が規定されている。

 基本的な仕組みは、シンガポールのビジネス・トラストに類似しており、ユニットトラストの一種として登録制度も設けられている。また、ビジネス・トラストの事業の運営をトラスト・マネジャーに委託するといった制度も同様であり、トラスト・マネジャーはCMSAに従ったライセンスの取得が求められている。

 ビジネス・トラストが行う事業や組み入れられる資産について特段の制限はなく、また、マレーシア証券取引所(Bursa Malaysia)にユニットを上場する仕組みも設けられている。もっとも、ビジネス・トラストガイドラインにはイスラム金融としてシャリア適格を有するイスラムビジネス・トラストの制度も規定されているといったマレーシアの特色もある。

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(まつもと・たけひと)

2005年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2007年慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2008年に長島・大野・常松法律事務所に入所後、官庁及び民間企業への出向並びに米国留学を経て、2017年から2020年まで長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。現在は、日本及び東南アジア地域での不動産・インフラ関係の案件を中心に企業法務全般についてアドバイスを行っている。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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