SH5217 マレーシア:ブミプトラ政策に基づく外資規制の概要(上) 松﨑景子(2024/11/28)

組織法務経済安保・通商政策

マレーシア:ブミプトラ政策に基づく外資規制の概要(上)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 松 﨑 景 子 

 

1 はじめに ――「ブミプトラ政策」とは?――

 2024年8月19日、マレーシアの首相は、「ブミプトラ経済転換計画2035(プトラ35)」と題する新たなブミプトラ政策の実施計画を発表した。ブミプトラ政策とは、マレーシアにおいて1970年代から実施されているマレー系優遇政策の総称であり、ブミプトラ(マレー語で「土地の子」を意味し、マレー系及びその他の先住民族を指す。)に対して、企業の株式保有、雇用、教育、不動産所有等の様々な分野で優遇措置を与えるものである。

 ブミプトラ政策は、ブミプトラの経済的地位を向上させ、他民族(特に中華系・インド系住民)との経済格差を是正することを目的としており、マレーシア国内におけるブミプトラの経済的な影響力を拡大させるため、外資企業の自由な市場参入や事業展開に一定の制約を課している。そのため、ブミプトラ政策は実質的な外資規制として機能しており、外資企業がマレーシアで事業を展開する際には、同政策に基づく規制に配慮することが欠かせない。

 本稿では、新たな政策実施計画が発表されたことを受けて、マレーシアへの新規進出を検討している企業や既に進出している企業等に向けて、ブミプトラ政策に基づく外資規制の概要を紹介する。

この記事はプレミアム向け有料記事です
続きはログインしてご覧ください


 

(まつざき・けいこ)

長島・大野・常松法律事務所シンガポールオフィス所属。2016年慶應義塾大学法科大学院修了、2017年長島・大野・常松法律事務所入所。入所以降、M&A・コーポレート案件、競争当局への企業結合審査対応等を中心に、国内外の企業法務全般に従事。2024年にSingapore Management University(LL.M.)を修了し、2024年8月よりシンガポールオフィス勤務。現在は、東南アジア諸国への日本企業の進出支援、東南アジア地域を中心とするM&A案件その他の国際企業法務に従事している。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

長島・大野・常松法律事務所は、500名を超える弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件および国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

当事務所は、東京、ニューヨーク、シンガポール、バンコク、ホーチミン、ハノイおよび上海にオフィスを構えています。また、東京オフィス内には、日本企業によるアジア地域への進出や業務展開を支援する「アジアプラクティスグループ(APG)」および「中国プラクティスグループ(CPG)」が組織されています。当事務所は、国内外の拠点で執務する弁護士が緊密な連携を図り、更に現地の有力な法律事務所との提携および協力関係も活かして、特定の国・地域に限定されない総合的なリーガルサービスを提供しています。

詳しくは、こちらをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました