◇SH3093◇東証、2022年4月一斉移行予定の「新市場区分」についてFAQを取りまとめ ――プライム市場のガバナンス基準で「現状どおりコンプライ・オア・エクスプレイン」など運用方針も明らかに―― (2020/04/07)

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東証、2022年4月一斉移行予定の「新市場区分」についてFAQを取りまとめ

――プライム市場のガバナンス基準で
「現状どおりコンプライ・オア・エクスプレイン」など運用方針も明らかに――

 

 東京証券取引所は3月31日、「『新市場区分の概要等について』に関するよくある質問と回答(FAQ)」と題する説明資料を取りまとめ、発表した。

 東証では2月21日、資料「新市場区分の概要等について」を明らかにし、(ア)現在「市場第一部・市場第二部・マザーズ・JASDAQ(スタンダード及びグロース)」の5つに区分される市場を「プライム市場・スタンダード市場・グロース市場(いずれも仮称)」の3つに見直すこと、(イ)2022年4月1日を一斉移行日と想定し、2021年6月末日を移行基準日とすることなどを柱とする方針を示した(SH3038 東証、新市場区分の概要等を公表 ――プライム市場・スタンダード市場・グロース市場に再編、2022年4月1日移行を想定――(2020/03/03)既報)。

 東証ではその後、3月18日には「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応方針の概要」を発表する際に「なお、当取引所では、2022年4月の新市場区分への移行に向けて、本年3月より、現行制度の一部改正の手続を進めていく予定としておりましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応を優先するため、これらの手続の開始は延期し、本対応が完了次第、直ちに手続を再開することといたしますので、あわせてご連絡差し上げます」とする案内文を添え、当初の一部方針を延期する旨、周知したところである。

 今般発表されたFAQは、上記・2月21日発表に絡んで上場会社・上場準備会社・市場関係者から多くの質問が寄せられたことから編まれたもので、東証では「新市場区分への移行に向けたご検討及びご準備にあたってご参照いただければ幸いです」としている。

 FAQは全56問。掲載順に(1)新市場区分の概要、(2)プライム市場の上場基準、(3)スタンダード市場の上場基準、(4)グロース市場の上場基準、(5)流通株式の定義の見直し、(6)新たな市場区分の選択に係る手続、(7)経過措置、(8)工程、(9)現行制度の一部改正――の各分野について、2月21日発表との関係を示しながら、一問一答形式により補充解説を施すものとなった。

 上記(1)では、各市場区分への移行手続の詳細を説明する問い(Q1・Q4)のなかで「2020年内に公表を予定する制度要綱においてお示しいたします」とする旨を表明。一方で、他の市場区分への変更について「現行制度における指定替え制度(市場第一部上場会社が一定の事由に該当した場合に市場第二部に指定替えとなる仕組み)のような、上場会社の意思によらない市場区分の変更に係る制度は、設けないことを想定しています」と明記したうえで、他の市場区分への変更が上場会社からの申請に基づく審査によって行われることを強調した。

 新設する市場の上場基準については、上記(2)~(4)において各々12問・7問・10問のFAQにより詳細を説明するかたちを採っており、たとえば、プライム市場に求められるガバナンス基準となる「(今後より高い水準が示される想定である)見直し後のコーポレートガバナンス・コード全原則の適用」に関しては、「プライム市場において、『見直し後のコーポレートガバナンス・コード全原則の適用』という記載がありますが、全原則についてコンプライが求められるのですか」とするQ10を通じて、「現状どおり、『コンプライ・オア・エクスプレイン』によることを想定」「(見直し後の)全原則が適用される場合でも、『コンプライ・オア・エクスプレイン』が求められることになる想定」と説明し、実際の運用方針を明らかにしている。

 なお、2021年6月末日を移行基準日とし、東証が上場会社に対して同年7月末までに通知するとされていた「当該移行基準日の時点で新市場区分の上場維持基準に適合しているか否か」については、①新規上場と同様の審査手続を経ることなく選択可能な市場区分の適合状況について知らせることを想定しており、具体的には、②市場第一部の上場会社に対しては「プライム市場」および「スタンダード市場」の上場維持基準への適合状況を知らせるものと表明した。

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