経産省、中小企業におけるM&Aの更なる促進のための
「中小M&Aガイドライン」を策定
岩田合同法律事務所
弁護士 三 浦 貴 史
1 本ガイドラインの策定経緯
後継者不在の中小企業[1]にとって、M&A[2]を通じて社外の第三者に事業を引き継がせることは、廃業を避け事業を存続させる重要な手法の一つであり、実際に中小企業のM&Aは着実に進展・増加しつつあるものの、第三者に会社・事業を「売る」ことを躊躇している中小企業経営者は未だに数多く存在している。また、中小企業におけるM&Aが円滑に促進されるためには、仲介業者や金融機関などのM&A支援機関[3]が、適切に支援を実施することも重要である。
このような現状を踏まえ、経済産業省は、2020年3月31日に、2015年3月に策定した「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂し、「中小M&Aガイドライン」(以下「本ガイドライン」という。)を策定した。
2 本ガイドラインの概要
⑴ 趣旨・目的
中小企業がM&Aを躊躇する主な要因は、①M&Aに関する知見がなく、進め方がわからないこと、②M&A業務の手数料等の目安が見極めにくいこと、③M&A支援に対し不信感があること、の3つだと考えられる。
本ガイドラインは、これらを踏まえて、M&Aの基本的な事項やM&A業務の手数料等の目安を示す(①②)とともに、M&A支援機関に対して適切なM&Aのための行動指針を提示した(③)。
以下、その概要を紹介する。
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(みうら・たかし)
岩田合同法律事務所アソシエイト。2014年東京大学法学部卒業。2016年東京大学法科大学院卒業。2017年弁護士登録。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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