◇SH0157◇法務省、会社法の改正に伴う会社更生法施行令及び会社法施行規則等の改正に関する意見募集を開始 泉 篤志(2014/12/04)

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法務省、会社法の改正に伴う会社更生法施行令及び会社法施行規則等の改正

に関する意見募集を開始

岩田合同法律事務所

弁護士 泉   篤 志

 平成26年11月25日、法務省が、会社法の改正に伴う会社更生法施行令、会社法施行規則、会社計算規則その他の法務省令の改正に関する意見募集を開始した。かかる法務省令の改正案は、同年6月27日に公布された「会社法の一部を改正する法律」(平成26年法律第90号)及び「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成26年法第91号)を受けて改正を行おうとするものである。本稿においては、このうち特に重要と思われる会社法施行規則関係及び会社計算規則関係の改正の概要について紹介することとする。なお、以下において引用する会社法施行規則及び会社計算規則の条数は、今回の改正案による改正後の条数である。

 まず、今回の会社法改正において、社外取締役選任の義務付けは見送られたものの、英国の”Comply, or explain”(遵守せよ、そうでなければ説明せよ)の考え方に基づき、事業年度末において公開会社かつ大会社である監査役会設置会社であってその発行する株式について有価証券報告書提出義務を負う株式会社(特定監査役会設置会社)が社外取締役を置いていない場合には、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明しなければならないとされている(法327条の2)。これと同様の趣旨から、今回の会社法施行規則の改正案では、社外取締役を置いていない(株主総会終結時に社外取締役を置いていないこととなる見込みである場合を含む)特定監査役会設置会社が、取締役の選任議案を株主総会に提出する場合に、社外取締役となる見込みである者を候補者とする選任議案を提出しないときは、株主総会参考書類に、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を記載しなければならないとされている(施行規則74条の2)。また、事業年度末に社外取締役を置いていない一定の監査役会設置会社は、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を当該事業年度に係る事業報告の内容としなければならないとされている(同124条2項)。

 次に、いわゆる内部統制システム関連の改正案として、職務補助者への指示の実効性の確保や職務執行につき生じる費用の前払い等監査を支える体制や、監査役による使用人等からの情報収集に関する体制に係る規定の充実・具体化等が図られている(施行規則98条4項、100条3項等)。また、内部統制システムの運用状況の概要が事業報告の記載事項として追加されている(同118条2号)。

 また、今回の会社法改正では、株式会社の最終完全親会社等の総株主の議決権又は発行済株式の1%以上を有する株主は、一定の完全子会社等の役員等の責任に係る責任追及等の訴えの提起を請求することができるようになったところ(法847条の3第1項、いわゆる多重代表訴訟)、今回の会社法施行規則の改正案では、提起請求の方法(施行規則218条の5)、不提訴理由の通知方法(同218条の7)を定める規定等が整備された。

 さらに、今回の会社法改正で新設された、公開会社における支配株主の異動を伴う募集株式の発行等(法206条の2、244条の2)に対応して、株主に通知すべき事項(施行規則42条の2、55条の2)、株主に対する通知を要しない場合(同42条の3、55条の4)等を定める規定が新設され、また、同じく会社法改正で新設された、特別支配株主の株式等売渡請求制度(法179条以下)に対応して、当該売渡請求に際して特別支配株主が定めるべき事項(施行規則33条の5)や、対象会社の事前開示事項(同33条の7)、事後開示事項(同33条の8)等を定める規定が新設された。

 このほか、会社法施行規則関係及び会社計算規則関係の主な改正案としては、以下の表に記載されたものがある。

 

その他の会社法施行規則関係及び会社計算規則関係の主な改正案

1.   監査等委員会設置会社に係る規定の整備

監査等委員会設置会社が定められた会社法改正(法399条の2以下)に対応して、監査等委員会の議事録(施行規則110条の3)及び業務の適正を確保するための体制(同110条の4)に関する規定を新設

2.   出資の履行の仮装に係る規定の新設

会社法改正(法52条の2、103条2項等)に対応して、仮装の責任を取るべき発起人等を定める規定(施行規則7条の2、18条の2、46条の2、62条の2)を新設

3.   全部取得条項付種類株式の取得及び株式の併合に係る規定の整備

事前・事後の備置が定められた会社法改正(法171条の2、173条の2、182条の2、182条の6等)に対応して、事前開示事項(施行規則33条の2、33条の9)及び事後開示事項(同33条の3、33条の10)を新設

4.   ウェブ開示事項の拡大

ウェブ開示事項を拡大するべく、株主総会参考書類及び事業報告に係るウェブ開示事項の範囲の見直し等を行う(施行規則94条、133条)とともに、ウェブ開示を行うことができる計算書類に株主資本等変動計算書を追加(計算規則133条)

 

 今回の改正案は、本年6月27日に公布された改正会社法の内容を受けたものであり、一部経過措置が設けられているものを除き、改正会社法の施行日(平成27年5月1日が予定されている)から施行するとされている。「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明・記載、多重代表訴訟、少数株主のキャッシュ・アウト等を定めた改正会社法が実務に与える影響が大きいことは言うまでもなく、これを受けた今回の改正案も各社のガバナンスや資本政策等の具体的な手法に影響を与えるものであり、今回の意見募集の結果、どのような変更がなされるのか注目されるところである。

(いずみ・あつし)

 

岩田合同法律事務所パートナー。2004年東京大学法学部卒業。2005年弁護士登録。2013年University of Southern California卒業 (LL.M.)。「旬刊商事法務・新商事判例便覧」(連載・共著、2010年7月~2012年5月)、「改正金融機能強化法の意義の再確認~公的資金を活用した一層の金融円滑化の試み~」(共著、ファイナンシャルコンプライアンス2010年5月号)ほか多数。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>

1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>

〒100-6310 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング10階 電話 03-3214-6205(代表)

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