タイ:取締役会のテレビ会議・電話会議での開催
――海外在住の取締役が海外にいながら取締役会に参加することが可能に――
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 箕 輪 俊 介
タイでは段階的な規制緩和により、電話会議又はテレビ会議システムによる取締役会の開催が認められていたものの、かかる形態の取締役会を開催するためには①主催場所に3分の1以上の取締役がいること、②参加する取締役はタイ国内にいること、③このような形態での取締役会の開催が可能である旨定款に規定すること等の要件を充たすことが求められていたため、従前、特に参加する取締役はタイ国内にいることという要件がネックとなり、海外在住の取締役が海外にいながら電話会議又はテレビ会議システムを通じて取締役会に参加することはできなかった。
この点、現状のコロナ禍に伴い、柔軟に会議体が開催できるよう上記の要件が2020年4月19日付で撤廃され、結果として海外在住の取締役が海外にいながら電話会議又はテレビ会議システムを通じて取締役会に参加することができるようになった。定款にかかる会議体が可能であることを規定することも求められなくなったため、公開会社か非公開会社かを問わず、原則としてすべての会社において上記の要件が撤廃された2020年4月19日より上記の形態にて取締役会を開催することが可能となる。
電話会議又はテレビ会議システムにて取締役会を開催する場合には、会議の内容を録音又は録画することや参加者の参加に係るログを保存すること等の要件が求められているが、これらの要件を充たす限り、海外在住の取締役が海外にいながら電話会議又はテレビ会議システムを通じて取締役会に参加することができるようになったことは、タイ国内への渡航が制限されている2020年現在のコロナ禍の現状では勿論のこと、今後、事態が平常化した後でも柔軟な会議の開催を可能にするものとして有意義な法改正といえる。