◇SH3188◇公取委、施行後最多の措置件数となる「令和元年度における下請法の運用状況」を公表――指導8千件超、違反行為の類型別では支払遅延・減額・やり直しの件数に顕著な増加 (2020/06/09)

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公取委、施行後最多の措置件数となる
「令和元年度における下請法の運用状況」を公表

――指導8千件超、違反行為の類型別では支払遅延・減額・やり直しの件数に顕著な増加――

 

 公正取引委員会は5月27日、「令和元年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組」を公表した。

 下請法違反被疑事件の処理件数8,315件に対して「不問」とした292件を除いた8,023件のうち(1)下請法7条の規定に基づく「勧告」が前年並み7件、(2)違反行為の改善を求める「指導(違反のおそれのある行為に対する指導を含む)」が8,016件となり、同法施行後最多の措置件数となったことが明らかになっている。なお、令和2年度においては4月10日、下請法4条1項4号(返品の禁止)に違反するとしてリーガルコーポレーションに勧告を行ったほか、中小企業庁が6月1日、コモディイイダが同法4条1項3号(下請代金の減額の禁止)に違反したとして公正取引委員会に対し措置請求を行った事案がみられる。また近時、(ア)公正取引委員会委員長名による「新型コロナウイルス感染症により影響を受ける個人事業主・フリーランスとの取引に関する配慮について」(3月10日)と題する要請が経済産業大臣・厚生労働大臣との連名でなされており、(イ)「新型コロナウイルス感染症に関連する事業者等の取組に対する公正取引委員会の対応について」(4月28日)においても「中小・下請事業者へのしわ寄せに対する対応」が掲げられていること、(ウ)中小企業庁・公正取引委員会の連名による「新型コロナウイルス感染症拡大に関連する下請取引Q&A」(5月13日)が示されていることにも留意しておきたい。

 今般公表された令和元年度の下請法の運用状況によると、上記(1)の勧告は7件(前年度7件、以下同様)で、違反行為の類型別にみた内訳は「下請代金の減額」6件(6件)、「返品」1件(1件)、「不当な経済上の利益の提供要請」1件(1件)、「支払遅延」1件であった(1件の勧告事件で複数の違反行為類型につき勧告を行う場合があり、勧告件数と違反行為の類型別の件数とは一致しない)。

 これらのうち「下請代金の減額」については、「手形等ではなく現金で支払うことなどを理由に下請代金の一定率を減ずる行為」3件、「新単価の遡及適用」2件がみられた。また「返品」および「不当な経済上の利益の提供要請」については公正取引委員会として、「小売業者が行う下請事業者の従業員等の派遣要請行為による不当な経済上の利益の提供要請及び支払遅延に対する勧告・公表は、それぞれ勧告事件を原則として公表するようになった平成16年度以降初めて」と特記している。

 上記(2)の指導8,016件は「昭和31年の下請法施行以降、最多」とされており、前年度(平成30年度)7,710件、29年度6,752件、28年度6,302件、27年度5,980件、26年度5,461件、25年度4,949件と、過去最多を更新する近年の傾向が継続していることが分かる。

 勧告および指導の措置件数8,023件について、これらすべてを違反行為の類型別にみた場合の全件数は13,528件。うち「発注書面の交付義務等を定めた手続規定違反(下請法3条または5条違反)」が6,609件、「親事業者の禁止行為を定めた実体規定違反(同法4条違反)」が 6,919件である。

 実体規定違反について、その内訳を多い順にみると、①「支払遅延」3,651件(実体規定違反行為全体の52.8%、以下同様)、②「下請代金の減額」1,150件(16.6%)、③「買いたたき」721件(10.4%)、④「やり直し等」590件(8.5%)、⑤「利益提供要請」336件(4.9%)となる。うち、①・②・④の件数が顕著に増加しているのが当年度の特徴とも捉えられ、それぞれの推移は次のとおり。①支払遅延:令和元年度3,651件(52.8%)、平成30年度3,371件(49.4%)、29年度3,129件(54.2%)。②下請代金の減額:令和元年度1,150件(16.6%)、30年度834件(12.2%)、29年度611件(10.6%)。④やり直し等:令和元年度590件(8.5%)、30年度132件(1.9%)、29年度45件(0.8%)。

 平成29年度の取りまとめ(30年5月31日公表)において初めて公表された「働き方改革に関連して生じ得る中小企業等に対する不当な行為の事例」について、30年度の取りまとめ(令和元年5月29日公表)では「平成30年度における働き方改革に関連する下請法違反実例」として6社分が公表されていたところ、令和元年度の取りまとめでは「令和元年度における働き方改革に関連する下請法違反実例」10社分が収載された。また、約30,000事業者を対象として令和元年12月26日に調査票を発送するかたちで始まった金型に係る取引の実態調査を受け、「令和元年度における金型に関連する下請法違反実例」4社分が初めて公表されており、適宜参考とされたい。

 

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