公取委、令和元年度における企業結合関係届出の状況及び
主要な企業結合事例を公表
――企業結合計画の届出を受理した310件の状況と10の企業結合事例――
公正取引委員会は7月22日、令和元年度における企業結合関係届出の状況及び主要な企業結合事例を公表した。
公取委では、事前に届出のあった企業結合計画等について、「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針(企業結合ガイドライン)」(平成16年5月31日)に示された考え方に基づき、競争が実質的に制限されることとなるかどうかという観点から審査(企業結合審査)を行っているところである。
今般、令和元年度における企業結合関係届出の状況と主要な企業結合事例を公表したものであり、その概要は以下のとおりである。
1 令和元年度における企業結合関係届出の状況
令和元年度において、企業結合計画の届出を受理した件数は310件(対前年度比3.4%減)であり、その内訳は、株式取得に係る届出が264件、合併に係る届出が12件、分割に係る届出が12件、共同株式移転に係る届出が3件、事業譲受け等に係る届出が19件であった。
このうち、合併に係る届出を態様別にみると、吸収合併が12件で、新設合併はなかった。分割に係る届出では、吸収分割が12件で、共同新設分割はなかった。事業譲受け等では、事業譲受けが17件で、事業上の固定資産の譲受けが2件であった。
届出を受理した310件のうち、「第1次審査の結果、独占禁止法上問題ないとして、排除措置命令を行わない旨の通知をした案件」は300件、「より詳細な審査が必要であるとして、第2次審査に移行した案件」は1件、「第1次審査中に取下げがあった案件」は9件であった。
また、令和元年度に審査が終了した事例のうち、当事会社が申し出た措置を前提として独占禁止法上の問題はないと判断したものは4事例、届出を要しない企業結合計画に関するもの(当事会社からの相談があったもの又は公取委が審査を開始したもの)は6事例であった。
2 令和元年度における主要な企業結合事例
令和元年度に公取委が審査を終了した事例のうち、企業結合を計画している事業者の参考に資すると思われる下記の10事例(カッコ内は、主な検討分野)について、その審査内容を公表した。
10事例のうち(1)当事会社が申し出た措置を前提として独占禁止法上の問題はないと判断した事例は3事例(事例②、⑥及び⑧)、(2)経済分析結果を紹介している事例は2事例(事例③及び⑨)である。
- ① ブリストル・マイヤーズスクイブ・カンパニー及びセルジーン・コーポレーションの統合(医療用医薬品)
- ② TDKによる昭和電工のネオジム磁石合金の研究開発事業の譲受け(ネオジム磁石合金等)
- ③ 日本産業パートナーズによるコベルコマテリアル銅管及び古河電気工業の銅管事業の統合(銅管)
- ④ アプライド・マテリアルズ・インクによるKOKUSAI ELECTRICの株式取得(半導体製造装置)
- ⑤ ダナハーコーポレーションによるゼネラル・エレクトリック・カンパニーのバイオ医薬品製造機器等の製造販売事業の統合(バイオ医薬品製造機器等)
- ⑥ トヨタ自動車及びパナソニックによる車載用リチウムイオン電池事業等に係る共同出資会社の設立(車載用リチウムイオン電池等)
- ⑦ ヒューレット・パッカード・エンタープライズ・カンパニー及びクレイ・インクの統合(高性能計算システム)
- ⑧ エムスリーによる日本アルトマークの株式取得(医薬品情報提供プラットフォーム運営事業等)
- ⑨ マツモトキヨシホールディングスによるココカラファインの株式取得(ドラッグストア業)
- ⑩ 三菱UFJ銀行によるディーゼットバンクエージーからの航空機ファイナンス事業の譲受け(航空機ファイナンス事業)
公取委、令和元年度における企業結合関係届出の状況及び主要な企業結合事例について(7月22日)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/jul/200722.html
○(別添1)企業結合審査について
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/08/02R1betten1.pdf
○(別添2)令和元年度における企業結合関係届出の状況
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/08/03R1doukoupressrelease.pdf
○(別添3)令和元年度における主要な企業結合事例について
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/08/04R1jirei.pdf