◇SH3317◇経団連、「企業と投資家による建設的対話の促進に向けて」を公表――各主体に求められる取組みを示す(2020/09/24)

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経団連、「企業と投資家による建設的対話の促進に向けて」を公表

――各主体に求められる取組みを示す――

 

 日本経済団体連合会は9月15日、「企業と投資家による建設的対話の促進に向けて」を公表した(以下、「本提言」)。これは、①企業と投資家の対話の現状と課題を整理するとともに、②今後の建設的な対話の促進に向け各主体に求められる取組みを示すものとして、とりまとめられたものである。

 本提言の構成は、以下のとおりである。

  1. I はじめに
  2. II 企業と投資家による対話の進展状況
  3. III 建設的対話の促進に求められる取組み
  4.  1 建設的対話に資する情報開示の充実
  5.  2 質の高い対話の好循環へ
  6.  3 議決権行使助言会社の適切な機能発揮
  7.  4 デジタル技術等の活用
  8.  5 より長期の視点に基づく対話
        ⑴ 長期ビジョンと価値創造ストーリーの説明
        ⑵ 情報開示・評価手法の国際的な枠組み
  9. IV おわりに

 以下、本提言のうち、「III 建設的対話の促進に求められる取組み」の概要を紹介する。

 

建設的対話の促進に求められる取組み

1 建設的対話に資する情報開示の充実

《企業》

  1. •  重要度(マテリアリティ)と優先度(プライオリティ)を意識した情報開示をすべきである。
  2. •  形式にとらわれず、自社の考えについて自主的に情報開示を充実させる姿勢が、投資家の理解を深める。

《企業・投資家》

  1. •  対話を通じて、開示すべき情報を特定することができる。

 

2 質の高い対話の好循環へ

《企業・投資家》

  1. •  双方が相手の関心事項や目指している方向性等について議論を深めることが必要である。

《企業》

  1. •  対話の結果に基づく自社の行動の変化等について、これまで以上に、投資家に対して積極的にフィードバックを行うことが求められる。
  2. •  経営陣の対話への関与を高め、会社一体として対話に臨み、その内容を取締役会等に報告する等、自社の行動の具体的な変化につなげるための体制づくりが重要である。

《投資家》

  1. •  投資判断や議決権行使に至る一連のプロセスにおける対話の位置づけを企業に対して明確に提示し、対話の結果どういった判断を行ったのかを企業に積極的にフィードバックすることが重要である。
  2. •  アクティブとパッシブを含む運用部門・議決権行使部門・ESG評価部門などの内部連携がきわめて重要となる。
  3. •  あらかじめ投資スタンスを明らかにし、対話のテーマや目的を明確化することにより、建設的対話が期待される。

《政府》

  1. •  実質株主把握のための制度づくりについて検討を進めることが望ましい。

 

3 議決権行使助言会社の適切な機能発揮

《議決権行使助言会社》

  1. •  人的・組織的体制の整備、助言策定プロセスの透明化、企業との積極的な意見交換など、スチュワードシップ・コードの遵守が求められる。

《運用機関・アセットオーナー》

  1. •  運用機関は、議決権行使助言会社の選定・活用において、スチュワードシップ・コードの視点を反映させるとともに、投資先企業との対話で得られた情報を踏まえ、助言会社とも適切な対話を行い、助言能力の向上を図り、インベストメント・チェーン全体を高度化すべきである。
  2. •  アセット・オーナーも、運用機関による実効的なスチュワードシップ活動を促進すべきである。

 

4 デジタル技術等の活用

《企業》

  1. •  招集通知や株主総会関連資料のウェブでの開示、バーチャル株主総会の開催等により、効率化を一層促進することが期待される。

《投資家》

  1. •  議案の早期把握と議決権行使検討期間の確保のため、議決権電子行使プラットフォームの積極的な活用に向けた業界横断的な取組みが重要である。

《企業・投資家》

  1. •  オンラインでの対話等、対話手段の工夫・充実を図り、年間を通じ継続的な対話の機会をより一層拡充させることが望ましい。

 

5 より長期の視点に基づく対話

《企業》

  1. •  「長期ビジョン」は中期経営計画の期間ではなく十年単位を見据える必要がある。

《企業・投資家・政府等》

  1. •  ESG情報の各種基準を整理・統合し、企業はその枠組みの下で、創意工夫しながら開示することが望ましい。
  2. •  アセット・オーナーに対しては、ESG等の様々な観点から運用機関を評価することが期待される。
  3. •  ESG等の情報開示・評価手法に関する国際的な枠組みや基準づくりに対し、わが国も積極的に参加し議論をリードすべきである。

 

 

経団連、企業と投資家による建設的対話の促進に向けて(9月15日)
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/075.html

○概要
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/075_gaiyo.pdf

○本文
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/09/075_honbun.pdf

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