経団連、「株主総会におけるオンラインの更なる活用についての提言」を公表
――政府がガイドなどで見解を示すべき事項等――
日本経済団体連合会は10月13日、「株主総会におけるオンラインの更なる活用についての提言」を公表した。
本提言は、新型コロナウイルス感染症に対応しつつ株主との建設的な対話やデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する観点から取りまとめられたものであり、その構成は次のようになっている。
1 はじめに
2 今後のハイブリッド型バーチャル株主総会の活用等について
⑴ 本年6月の定時株主総会の状況
⑵ 今後の株主総会の方策
⑶ 政府がガイドなどで示すべき事項
⑷ 株主総会資料のWEBでのみなし提供の拡充の恒久化に関して
3 選択的なバーチャルオンリー型株主総会の開催について
⑴ バーチャルオンリー型株主総会の有用性・許容性
⑵ バーチャルオンリー型の円滑な実施に向けて
以下、本提言の概要をみていくと、まず、ハイブリッド型バーチャル株主総会の活用に向けて、政府が早期にガイドなどで一定の考えを明らかにする必要があるものとして、ハイブリッド参加型・出席型の双方に共通の事項には、次のようなものがあるとしている。
- ○ 映像通信なしの音声通信のみによる開催が認められること。
- ○ 通信回線安定の観点から、会社は、オンラインでの株主の参加枠(人数)を合理的な範囲に制限できること。
- ○ 役員が株主総会にオンラインで出席する場合、役員としての説明義務を果たせる態様である限り、総会に法的に出席しているといえること。総会における議事進行等を支障なく行える仕組みが整備されている限り、議長のオンライン出席も認められること。
- ○ コロナ対策に関する会社と個人株主等との間の各種連絡について、インターネットの手段によることが認められること。
- ○ リアル出席株主のプライバシー権や肖像権保護等の観点から、会社はオンラインの株主に対し、総会の録音・録画・転載を禁止できること。
一方、ハイブリッド出席型バーチャル株主総会に特有のもので、早期にガイドなどで政府見解を明らかにすべき事項としては、次のようなものがあるとしている。
- ○ 仮に通信障害が発生した場合でも、企業としての合理的判断を経て採用された信頼性の高いシステムであれば、十分であること。
- ○ 第三者によるなりすましの危険性についても、会社側が本人確認の合理的な方策をとっていれば、十分であること。
- ○ ハイブリッド出席型の導入によりオンライン出席に移行する株主の割合から合理的に導かれるリアル出席株主数が収容可能な会場を用意していれば、十分であること。
- ○ オンライン出席株主から質問フォームにて投稿された質問事項も含め、その取り上げ方(質問者の指名)は、恣意的な運用とならない範囲で議長の合理的議事進行に委ねられること。
次に、バーチャルオンリー型株主総会については、来年6月の株主総会に向け、ハイブリッド型バーチャル株主総会の延長として、まずは特例法等による対応によりバーチャルオンリー型を選択的に開催可能とするための措置を検討することが考えられるとしている。その上で、爾後の株主総会につき、会社法改正によるさらなる手当を行う場合には、会議体としての株主総会の在り方(決議事項の見直し、株主提案権の要件、説明義務や動議権の在り方など)に関しても併せて検討を行う必要があるなどとしている。
本提言では、このほか、本年の時限的措置として認められた、株主総会資料としての単体計算書類などのWEB開示によるみなし提供の拡充の恒久化も併せて求めることとしている。
経団連、株主総会におけるオンラインの更なる活用についての提言(10月13日)
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/092.html
○概要
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2020/10/092_gaiyo.pdf
○本文
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/092_honbun.html