SH3367 外務省、「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)を策定 齋藤宏一/本郷あずさ(2020/11/04)

組織法務経営・コーポレートガバナンス

外務省、「ビジネスと人権」に関する行動計画
(2020-2025)[1]を策定

アンダーソン・毛利・友常法律事務所

弁護士 齋 藤 宏 一
弁護士 本 郷 あずさ

 

1 はじめに

 2020年10月16日、関係府庁連絡会議において、「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)(以下、「本行動計画」という。)が策定された。本行動計画とは、2011年6月に国連人権理事会により採択された、国家と企業が尊重すべき人権保障に関するグローバル基準「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合「保護、尊重及び救済」枠組実施のために」[2](以下、「指導原則」という。)に基づき、各国に対し策定が求められている文書である。

 

2 本行動計画策定に至る経緯

 近年、ビジネスにおける人権侵害のリスクについて国際的な関心が高まっている。これを受けて国連人権理事会は、2011年6月、国家および企業に向けて人権保障のための取組みを要請する指導原則を採択した。指導原則の実施・促進のために設置された作業部会は、各国に対し、それぞれの国の状況に応じた国別行動計画を策定するよう要請しており、英国をトップバッター(2013年策定)として、欧米諸国を中心とする23ヵ国がすでに行動計画を公表した[3]

 わが国では、2015年6月に開かれたG7エルマウ・サミットの首脳宣言において「実質的な国別行動計画を策定する努力を歓迎する」[4]と言及されたことを機に、2016年に行動計画の策定が公表され、本格的な検討作業が始まった。行動計画の策定に向けた第一歩としては、わが国の企業活動における人権保護について、関連する法制度や施策等についての現状確認を目的としたベースラインスタディ(現状把握調査)が行われた。ベースラインスタディは、関係各省庁における現状の整理およびステークホルダーからの意見聴取の2本柱で行われ、ステークホルダーとしては、経済界、労働者団体、市民社会の代表として、日本経済団体連合会、中小企業家同友会全国協議会、日本労働組合総連合会、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、日本弁護士連合会などが招かれた[5]。2018年12月には、現状調査報告書が完成し、これを基礎として行動計画にかかるパブリックコメントが募集された。

 続いて2019年4月には、ステークホルダーが集まり意見交換を行う「ビジネスと人権に関する行動計画に係る作業部会」、および有識者が見解を示す「ビジネスと人権に関する行動計画に係る諮問委員会」が設置され、具体的な行動計画案の検討・策定作業が行われた。検討段階においては、2020年2月に行動計画の原案が示され、これに対するパブリックコメントも募集された。

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(さいとう・こういち)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。1999年東京大学法学部卒業。2001年弁護士登録(第一東京)。2008年ハーバード・ロースクール(LLM)修了、2008-2009年ハーバード・ロースクール客員研究員。2009年ニューヨーク州弁護士登録。ビジネスと人権ロイヤーズネットワークの運営委員を務めるほか、人権デュー・ディリジェンス、サプライチェーンマネジメント、その他ビジネスと人権に関する多数の案件を扱う。認定特定非営利活動法人Teach For Japan監事。ビジネス弁護士によるプロボノ活動を推進するBLP-Networkの共同発起人の一人。

 

(ほんごう・あずさ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2016年名古屋大学法学部卒業。2018年名古屋大学法科大学院卒業。2019年弁護士登録(第一東京)。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

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