国税庁、「NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)」を公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 下 尾 裕
弁護士 岡 田 英里香
1 はじめに
国税庁は、2023年1月13日、NFT(Non-Fungible Token)に関する税制上の取扱いにかかる一般的な質問等を取りまとめた「NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)」[1]と題する質疑応答集(以下「本FAQ」という。)を公表した。NFTについては、税法上に特段の法令の定めはなく、実務指針としても、国税庁のタックスアンサー(「No.1525-2 NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係」(2022年4月1日付)[2])が存在するのみであった。その意味で、本FAQは、税務当局が示すNFTに関する初めての本格的な実務指針となる。
本FAQについては、まずNFTを「ブロックチェーン上で、デジタルデータに唯一の性質を付与して真贋性を担保する機能や、取引履歴を追跡できる機能をもつトークン」と定義した上で、オンラインを通じてアートに関する著作物の利用許諾を行うことを内容とするNFTを念頭に、所得税、法人税および消費税との関係で、NFTを発行(制作・譲渡)する一時流通の場面と発行されたNFTを譲渡する二次流通の場面につき異なる理論的整理を行っている点に特徴がある。
以下においては、本FAQにおいて触れられている所得税、法人税、消費税ならびに相続税・贈与税および法定調書の取扱いについてそれぞれ概観する。
なお、表題中の括弧書きは、本FAQにおいて関連する項目を示している。
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(しもお・ゆたか)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2004年京都大学法学部卒業。2006年弁護士登録(大阪弁護士会)。2012年7月~2014年7月東京国税局(調査第一部調査審理課 国際調査審理官)勤務。税務、ウェルスマネジメントおよび紛争解決を中心に、一般企業法務を広く取り扱う。
(おかだ・えりか)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2018年一橋大学法学部卒業。2020年一橋大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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