経産省、Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会による
「デジタルガバナンス・コード」を公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
弁護士 山 口 大 介
1 はじめに
2020年11月9日、経済産業省は、Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会において検討されていた「デジタルガバナンス・コード」[1]を公表した。デジタルガバナンス・コードとは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する自主的取組みを促すため、デジタル技術による社会変革も踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を取りまとめたものである。
2 デジタルガバナンス・コード策定の経緯および位置づけ
政府においては、新たなデジタル技術や多様なデータを活用して経済発展と社会的課題の解決を両立していくSociety 5.0の実現を目指しており、この実現のためには、企業のデジタル面での経営改革、社会全体でのデータ連携・共有の基盤づくり、安全性の確保を官民双方で行い、社会横断的な基盤整備を行うための措置を講ずる必要があるという認識から、2019年に情報処理の促進に関する法律(情報処理促進法)を改正し(2020年5月15日施行)[2]、企業のデジタル面での経営改革、社会全体でのデータ連携・共有の基盤づくり、安全性の構築などに関する制度が設けられることとなった。
経済産業省では、情報処理促進法が改正されたことを受け、2020年1月からSociety5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会を立ち上げ、DXを進めるための基本的な事項を定めた指針の作成などの検討を進めており、デジタルガバナンス・コードは、同検討会において取りまとめられたものである。
デジタルガバナンス・コードは、情報処理促進法と密接に関連しているものの、それ自体が法的な強制力を有するものではないが、デジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応する企業を国が認定する制度(DX認定制度)を設けたり、経済産業省が東京証券取引所と共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」についてもデジタルガバナンス・コードと連動させるなど、企業経営者の自主的取組みを促すための仕組みが設けられているのが特徴である。
【図 デジタルガバナンス・コードの枠組み】
出所:経済産業省「デジタルガバナンス・コード」(2020年11月9日)
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(やまぐち・だいすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。1992年東京大学法学部卒業。1992~1998年株式会社長銀総合研究所勤務。2001年弁護士登録(第二東京)。2007年米国ヴァージニア大学ロースクール(LLM)修了。2008年ニューヨーク州弁護士登録。国内外のM&Aや会社法務を中心に、IT・サイバーセキュリティ関連案件やPFI等の官民連携案件に多数従事している。
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