SH3439 「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」のフォローアップ開催とバーチャル株主総会の実施事例集案のパブコメ開始 塚本英巨(2021/01/07)

組織法務株主総会

「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」のフォローアップ開催とバーチャル株主総会の実施事例集案のパブコメ開始

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 塚 本 英 巨

 

1  「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」のフォローアップ開催

 経済産業省の「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」(以下「本研究会」という。)の第8回が「フォローアップ開催」という形で2020年12月15日に開催(再開)された[1]

 本研究会は、株主総会当日の新たな電子的手段の活用の在り方および近年の内外の制度整備や実務の積み重ねを踏まえたさらなる対話のための環境整備等について検討するため、2019年8月に設置されたものである(筆者も委員として議論に参加)。本研究会は、2020年4月までの間に7回開催され、同年7月に報告書の取りまとめおよび公表[2]に至っている。

 報告書の取りまとめに先立つ2020年2月、経済産業省は、本研究会での議論に基づき、企業が、「ハイブリッド型バーチャル株主総会」(意味については後述)を実施する際の法的・実務的論点および具体的取扱いを明らかにする「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」(以下「実施ガイド」という。)を策定・公表している[3]

 そして、2020年の株主総会では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止策の一環として実施ガイドの活用に注目が集まり、上場会社において、ハイブリッド型バーチャル株主総会が実施されるなどした。

 今般の本研究会のフォローアップ開催は、これを受け、ハイブリッド型バーチャル株主総会の実務への浸透を図るため、2020年の株主総会における実施状況等を踏まえつつ、その実施事例や実際の運用における考え方等を示した「実施事例集」を実施ガイドの「別冊」として策定することを目的として開催されたものである。

 なお、ハイブリッド型バーチャル株主総会とは、取締役や株主等が一堂に会する物理的な場所(リアル総会場)で株主総会(リアル株主総会)を開催する一方で、リアル総会場に在所しない株主がインターネット等の手段を用いて遠隔地から参加又は出席することを許容する形態をいう。

 また、ハイブリッド型バーチャル株主総会には、①リアル株主総会の開催に加え、リアル総会場に在所しない株主が、株主総会への法律上の「出席」を伴わずに、インターネット等の手段を用いて審議等を確認・傍聴することができる「ハイブリッド参加型バーチャル株主総会」と、②リアル株主総会の開催に加え、リアル総会場に在所しない株主が、インターネット等の手段を用いて、株主総会に会社法上の「出席」をすることができる「ハイブリッド出席型バーチャル株主総会」の2種類がある。

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(つかもと・ひでお)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 パートナー弁護士
2003年東京大学法学部卒業、2004年弁護士登録。2010年~2013年に法務省民事局へ出向し、平成26年会社法改正の企画・立案を担当。また、2016年~公益社団法人日本監査役協会「ケース・スタディ委員会」専門委員、2017年~2020年経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システム(CGS)研究会(第2期)」委員、2019年~経済産業省「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」委員。主に、M&A及び株主総会対策をはじめとする会社法関連業務、コーポレート・ガバナンス、紛争対応を扱う。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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