◇SH3456◇著者に聞く! 西田章弁護士『新・弁護士の就職と転職』(後編) 西田 章/重松 英(2021/01/25)

法学教育

著者に聞く! 西田章弁護士『新・弁護士の就職と転職』(後編)

弁護士 西 田   章

(聞き手) 重 松   英

 

 前回のインタビューでは、西田弁護士に対し、弁護士の「就職」に関する考え方をお伺いして、法律事務所への就活において「企業就活本」で得たテクニックを応用したときに遭遇する問題点等についての意見をお聞きしました。インタビューの最後となる今回は、弁護士の「転職」についてお伺いします。(聞き手 重松英、2020年12月18日開催(場所 商事法務会議室))

 


次に、弁護士の「転職」にテーマを移したいと思います。先ほど、弁護士の人材市場も、ジュニア層では活発になってきたが、シニア層ではまだまだ、という話がありましたね(インタビュー(前編)参照)。
はい、いわゆる「第二新卒」と呼ばれる、登録3年以内くらいを対象にした市場が一番大きいです。需要サイドでは、法律事務所が「良い新人を採用して一から育てる」という育成モデルを維持するのが難しくなったため、「修習生を狙うよりも、第二新卒を狙おう」という発想をする先が増えました。供給サイドでは、就職先にミスマッチを見出した若手弁護士が転職を希望することが増えましたね。
法律事務所の新卒採用では内定者を奪われるリスクが大きいし、新人弁護士にとっても、就職先に失敗しても、「実務修習をひとつ余分に受けられた」くらいの感覚でよい、という話もありましたね(インタビュー(中編)参照)。終身雇用が重視されていた日本でも、「転職」に対するネガティブなイメージが払拭されてきたと言えますかね。
弁護士については、伝統的キャリアモデルは「独立」ですね。もともと、「修行をさせてもらう事務所」と「自分が活躍できる事務所」は別、という発想がありました。ただ、クライアント企業も一定の規模のある法律事務所を好むようになったので、「修行期を終えて一人前の弁護士として働きたい」という層についても、独立して個人事務所を立ち上げるよりも、共同事務所に参画する、という意味での「転職」に置き換わっていると思います。
独立であれば、「自分の事務所」を作るという動機付けが強いと思うのですが、転職の場合には、「修行させてもらう事務所」と「自分が活躍できる事務所」を環境として区別する理由がどこにあるのでしょうか。
ポイントとしては、自分が専門とする分野について、「先輩弁護士の層が厚い事務所」が「修行先」に適していて、「先輩弁護士がいない事務所」が「活躍先」に適していると思います。修行時代は、先輩に教えてもらわなければなりませんが、自分が成長してくると、次第に「自分が責任者として対応したほうが効率的な助言ができる」「先輩から余計な口を出してもらいたくない」と思うことが増えてきます。「老害」が疑われる先輩の下で働いていてもストレスが溜まるだけなので、優秀な弁護士ほど「先輩を追い出すか、自分が出ていくしかない」という選択を迫られる場面を迎えることになります。
新作でも、法律事務所が優秀な人材を引き止めるためには、シニアなパートナーが譲歩しなければならない場面もある、と書かれていますね。
はい、創業者がワンマンな事務所では「自分で食える奴は出ていく」「自分で食えない奴だけが残る」という現象が起こりがちです。
なるほど。ただ、先ほど「仕事をとってくる営業力が、受任した仕事をこなす弁護士のスキルと切り離されてきた感じがする」とも仰っていましたよね(インタビュー(前編)参照)。営業に向いている弁護士だけでなく、デスクワークに向いている弁護士もいるので、そこは補完関係があるようにも思いますが、どうでしょうか。
「営業」と言っても、企業法務の世界では「初対面の相談者を話術で惹きつける」というよりも、相談案件の対処に関する専門的知見があることや、一度相談したクライアントが満足度の高いサービスを受けたことでリピートする、というのが本来の姿だと思います。
しかし、危機管理や不正調査案件は、クライアントがリピートすることが望ましいわけではないので、ちょっと特殊ですよね。突発的なネガティブな事象にチームで対処する、という意味では、倒産事件において、東京地裁の民事8部や20部、それから、金融機関側に、信頼できる弁護士のデータが蓄積されているのに近いかもしれませんね。
いずれにせよ、30歳代のうちに、クライアントの担当者からの個人的信頼を得る努力を始めるべきだと思います。クライアント内にいる同世代の会社員が、社内で案件に対する実質的な発言権を増してくる時が、自分を売り込むチャンスだからです。クライアント内にいる若手の管理職候補にとってみれば、「偉すぎるシニア・パートナー」よりも、「同世代でぶっちゃけた相談をしやすいジュニアパートナーやシニア・アソシエイト」のほうが相談しやすいので。そういう経験がないままに、パートナーの下請け業務だけをしているうちに40歳代後半を迎えてしまうと、「どうやって営業したら良いかわからない」という状況にも陥りかねません。
すぐに成果が上がらなくとも、早いうちから営業的センスを身に付ける努力の積み重ねが必要ですね。ところで、転職を必要とする理由が「重複する分野の先輩から離れること」にあるならば、同じ事務所のままでも、先輩パートナーと重複しない新しい分野を開拓できれば、転職の必要はないのではないでしょうか。
はい、その通りです。それは、法律事務所におけるパートナー間の収益分配の仕組みにも関わってくると思います。つまり、既存クライアントへの仕事に従事するよりも、新規開拓をしたほうが得になれば、若手パートナーに対して、営業に取り組む経済的インセンティブを与えることになります。この点、2020年7月に出版された『弁護士になった「その先」のこと。』(商事法務、2020)は、中村・角田・松本法律事務所の所内研修が書籍化されたものですが、仕事をとってきた弁護士と実働した弁護士の収益分配の割合にまで説明がなされています。おそらく、旧森綜合の仕組みだと思いますが、とても参考になる実例です。
転職すべきか、それとも所内で新規開拓に臨むべきかのキャリア選択のポイントはどこにあるでしょうか。
奇妙に聞こえるかもしれませんが、「アソシエイト時代と同じ分野の仕事を続けていきたい」ならば転職することでチャンスが生まれて、「新しい分野にチャレンジしてもよい」ならば、所内での新規開拓をする、という傾向があります。つまり、同じ分野の仕事を続けていく限りは、その案件を仕切っていたパートナーが既に上に存在しているわけですから、そのパートナーの引退までは、その分野の第一人者になれないですよね。同じ分野の仕事を続けたいならば、その分野の専門家である先輩が不在の事務所を狙うほうが活躍の余地が広がります。
別に過度に転職を勧めているわけではなく、「事務所に残ること=保守的なキャリア選択」ではなく、事務所に残って新規分野を開拓することのほうが(転職して同じ法分野を続けることよりも)ずっとチャレンジングな取組みであることもある、ということです。
「新規分野」というのは、法分野を意味しているのでしょうか。最近では、産業別に考える見方もありますが。
大規模な事務所になれば、法分野毎に専門性を区切れるだけの弁護士がいますが、中小規模だと、クライアント別に担当が分かれていることが多いので、そこは両方あると思います。業界について詳しくなるためには、いっそ、会社に転職してしまったほうが手っ取り早いかもしれません。
私はベンチャー企業に転職しましたが、おかげで「ベンチャー村」というコミュニティに参加できたように思います。また、業務分野としても、法務だけでなく、広報やIRも担当しているので、「専門分野」は法分野だけでないように感じています。
重松さんのように「自分が飛び込んで行く」というのが最大の営業活動ですよね。30年前の弁護士業界では、「独立を目指すのが当然」と思われていたので、「渉外事務所にいく」というのがチャレンジングなキャリア選択でした。「国際行政書士」なんて揶揄されながらも、渉外業務に携わることに知的好奇心をくすぐられて、その「賭け」に勝った先輩方が、今、大手渉外事務所のパートナーとして活躍している、と理解することができます。そのようなチャレンジを現代におけるキャリア選択に置き換えてみると、一番近いのは、重松さんのようにベンチャーに飛び込むことだと思っています。
インハウスになってから、逆に、法律事務所の良さが見えてくることもあります。やっぱり、一流の法律事務所には優秀な人材が集まっていますし、生活スタイルも企業より自由です。クライアントワーク自体のやりがいもあると思います。私自身も、多少のクライアントワークを行うことを可能にするため、弁護士登録を法律事務所に置くようにして、副業もできる環境を整えました。
それは理想的ですね。フルタイムで企業に転職して「同じ船に乗る」ことで、一旦、経営陣との信頼関係を築いてしまえば、その後は、専従ではなくなっても、経営陣からの信頼を維持できるかもしれませんよね。他社案件での経験も積むことによって、「弁護士としての現役性」を保つことにもつながると思います。また、複数の収入源を確保することも重要です。一社に経済的に依存してしまうと、「この会社で上司に評価されなければならない」というプレッシャーから、行動が萎縮してしまう弊害も生まれがちです。でも、弁護士であれば、「上司に怒られるよりも、クライアントから損害賠償請求や懲戒請求をされるほうが怖い」ので、「上司に評価されなければならない」という呪縛から逃れて、自分が正しいと思う方向に行動しやすいですよね。
西田さんは、弁護士有資格者が、法務以外の部門で働くことについてどう思われますか。
個人的には大賛成です。会社で働く弁護士の価値の源泉については、これを「法律知識」に置く見方、「弁護士バッジ」に置く見方、「法律事務所経験」に置く見方などがあります。知識ならば、法科大学院卒でも構わないし、弁護士バッジがあれば、米国法上の問題があったときに「弁護士秘匿特権」の対象になる、とか。私は、法務以外の分野で働くことにおいても、弁護士であれば、「上司の指示よりも、上位の法規範があること」という意識を持って働けることが精神衛生上も健全だと思っています。
人材紹介業では、会社の法務以外の部門に弁護士を紹介することも多いのですか。
それは少ないですね。弁護士が「資格による下駄」を履かせてもらえるのは、法務部門にいる限りですから。それ以外の部門では、他の社員とガチンコでビジネスセンスを比較されることになります。法科大学院での勉強も、法律事務所での勤務も、「ビジネス経験の空白期間」に過ぎないので、「年齢に比してビジネス経験が浅い」と評価されてしまう場面のほうが多いですね。
そういう意味では、「人材の層が薄いベンチャー企業」は、法務以外の業務をやりたい若手弁護士にはお勧めかもしれませんね(笑)。
そうだと思います。問題は、「その後のキャリア」ですよね。広報やIR、または、経営企画や財務等で働くのは、インプットとしては良い経験になると思います。でも、「その分野で食っていけるか?」と言えば、その適性がないと生き残れないと思います。残念ながら、私には、候補者がビジネス面での適性が高いかどうかを見極める目利き力がないので、「他部門の経験を活かして、弁護士業務に戻る」というお手伝いをすることに自分の役割があると思っています。
法律事務所の中途採用において、法務部門以外の経験を評価してもらえることもあるのでしょうか。
普通、法律事務所は、そういう候補者の応募を想定していませんね。そのため、「法務部門以外の経験が、法律事務所の営業面でも役立つ」というような説得のための解釈論を展開する必要があると思います。ただ、法律事務所は、基本的には、「営業力」と「弁護士としての業務処理能力(リサーチ力、分析力や起案力)」の関係について、「弁護士としての業務処理能力を親亀、営業力を子亀」として位置付けているので、親亀がなく、子亀である「営業力」だけしか期待できない候補者を評価してくれません。定年を過ぎた大物を「顧問」で採用する場面に限られます。個人的には、「チームで対応すれば、現役世代にも拡大できるのではないか」と思っているので、ここは、地道に成功モデルを増やして行きたいと思っています。

 

話が逸れてきてしまったので、再び、「転職」についてのテーマを戻したいと思います。新作では、「修行期」を、「前期」と「後期」に分けていますが、年次によって、転職に求めるものも変わってくるのでしょうか。
採用側のニーズを大別すれば、「ポテンシャル採用」と「経験者採用」に分かれます。「前期」ならば、ポテンシャル採用の対象となり、「後期」ならば、「経験者採用」の対象となる、というイメージです。つまり、若いうちは「やったことがない分野をやってみたい」という好奇心でも転職することが可能ですが、年齢を重ねると「やってきたことを活かしたい」という形の転職が求められてくるので、「やったことがないことを新たにやってみたい」という転職を認めてもらいにくくなってきます。
とはいえ、パートナーになったら、新規開拓も求められるわけですよね。
そうなんですよ。要するに、「自分でクライアントを取って来られるならば良い」ということですね。先輩弁護士の下請けを続けようとする限りにおいて、シニア・アソシエイトになってしまったら、「新しいことをやりたい」という転職は難しくなるけど、パートナーとして「クライアントからどうやって案件を受任するか?」については、未経験分野についても工夫の余地があると思います。類似する分野の経験をもって相談案件にも経験があるようにアピールすることもあれば、相談分野に詳しい弁護士と共同受任する方法もあると思います。
専門分野が、キャリア選択において最も重要なのでしょうか。私が後輩から相談を受けたときは、人生の目的は「幸せ」であるという観点から、「まずは、どんなライフスタイルを望むか?」から逆算してキャリアを設計したほうがいい、とアドバイスしているのですが。
そのアドバイスは本質を突いていると思います。実際、優秀な奴は、どんな分野の案件を担当しても卒なくこなしますよね。ただ、仕事を長く続けていく上では、「自分は、この分野またはこのクライアントの案件では最も優れた仕事ができる」と自負できる専門分野を持つことは、とても重要だと思っています。そうでないと、仕事が退屈になり、「飽き」が来てしまいますよね。
事務所経営的に見れば、「いかにして『コストパフォーマンスの良い仕事』を獲得して、『コストパフォーマンスの悪い仕事』を断るか」が重要ですが、経営を突き詰めたいならば、法律事務所ではなく、ビジネスで起業したほうがいいですよね。弁護士業務は、どこまで行っても、「自分の時間の切り売り」から脱することができないところがあるので、弁護士業務を続けていくのであれば、職人的な発想が多かれ少なかれ必要になってくると思います。
そして、職人的な発想からすれば、「これ、自分でなくても出来る仕事だよなぁ」と思った瞬間に、やる気が失われてしまいますよね。誠実な職人ならば「これ、あいつのほうが得意だよな」「あいつのほうが安くできるよな」と思ったら、自分で引き受けることすらためらわれますよね。もちろん、「修行期」には「学び」のために未経験分野の事件を引き受けることが大事ですが、「活躍期」になったら、「自分でなければ、この問題は解決できない」とか「他の弁護士よりも自分のアドバイスが最も優れている」という使命感を持てる仕事をしたいですよね。
随分と実感がこもったコメントですが、西田さん自身のご経験から来ているのでしょうか(笑)。
鋭いですね(笑)。正に、弁護士業務でもそうですし、人材紹介業務でもそうです。外資系企業は、人材紹介業者にとっては上得意先ですが、クライアントから「ベンダー」なんて呼ばれたら、ちょっとやる気を失ってしまいます。また、法律事務所からも「ぜひいい人を紹介してくれ」と言われて、候補者を勧誘しようとしたら、「あ、その事務所なら、別のエージェントから求人票を送ってもらいました」なんて言われたら、テンションが下がってしまいますよね。
西田さんの人材紹介業者としてのゴールはどこにあるのでしょうか。転職市場を整備することによって日本企業に法化社会を浸透させたい、とかの目指すべき未来像があれば、教えてください。
すいません、まったくないです。自分の身近な範囲で、「ご縁」があった候補者やクライアントのマッチングを成立させることができて、両者がハッピーになれば、それだけで十分です。理想像を挙げると、1996年に制作されたアメリカ映画の「ザ・エージェント」(原題:Jerry Maguire)に描かれているプロスポーツ選手の代理人なんですよね。トム・クルーズ演じる主人公が、金儲け主義の大手代理店を辞めて独立して、クライアントの数を絞って、真にクライアントとの絆を大事にしたエージェント業務を始めようとするのですが、商業的にすごく苦労する、という話です(苦笑)。この映画を見て、「仕事を長く続けていくためには、固定費を下げないといけないな」と学びました。
新作では、転職エージェントに対するネガティブな記述も見られましたね。例えば、ジュニアであれば、直接に応募したほうがいい、とか。
シニアな弁護士、例えば、法律事務所のパートナーとか、企業の法務部長であれば、自ら履歴書を送って転職活動をするわけにもいかないし、そのクラスの弁護士を採用する側にとっても守秘性が高いプロジェクトになるので、エージェントを介在させる必要があるのは確かですよね。
でも、ジュニアなポストについては、採用側でもオープンに募集しても構わないので、そこで間に入る業者って、エージェントというよりも、単なるメッセンジャーボーイに過ぎないですよね。
それにもかかわらず、転職エージェントが「今、アソシエイトを募集している事務所のリストはこれである」と偉そうに言ったりするのですが、それって、単に、自分たちが商業ベースで紹介できる先を挙げているだけですよね。直接応募ならば、選考してくれる先は他にもあるはずです。ズルイ業者になると、相談者から「その事務所には研修所時代の弁護教官がいる」と言われても、「いや、自分たちを経由したほうが選考が有利になる」とか強弁することもありますからね。そんなのウソですよね。自分を直接に担当してくれた教官がいる事務所だったら、業者なんか経由せずに、直接、相談したほうがいいに決まっているじゃないですか。でも、業者の立場からすれば、毎月のノルマがあり、「今月はまだ成約件数が足りない」となると、無理にでも仲介を成立させたくなってしまうのかなぁ。
なるほど、勉強になります。ただ、私自身はロースクール生時代から西田さんとご縁があったこともあり、ジュニアの頃に、西田さんに相談させていただいて転職をしていますが、ジュニアのときは転職についての事情等は自分自身では全くわからないので、親身に相談にのっていただき、色々な知見を伺ったことは大変有り難かったです。
ありがとうございます(笑)
西田さんは、人材紹介業の事業計画において月次の売上目標を設定されていないのですか。
人材紹介は、波がありますから。ひと月に、7人、8人の転職が成立することもあれば、一件も成立しないこともあります。成立しても紹介手数料を取り損なうこともあります(苦笑)。それでも、弁護士業務や社外役員業務で収入を得てドンブリ勘定にしているおかげで、「とにかく今月誰かの転職を成立させたい」という焦りを感じないでいられます。
収入源を複線化することが重要だと分かりました(笑)。人材紹介には波がある、とのことですが、コロナ禍で、転職市場はどうなっているのでしょうか。冷え込んでいるのでしょうか。それとも活性化しているのでしょうか。
2020年は、春先におそれていたほどは、法律事務所の売上げは落ち込んでいない、という印象です。需要側で言えば、採用ニーズはあります。ただ、供給側では、在宅勤務も進んだので、「激務がツラいのですぐにでも逃げ出したい」という緊急避難的な転職相談は減っていますね。ワークライフバランスが保てるのは良いことではありますが、ジュニア・アソシエイト間の「経験値の格差」は広がっている感じもします。パートナーも、使いやすいアソシエイトばかりを繰り返しアサインしてしまうので、「適切な経験を積めないままに1年を過ごしてしまった72期」も、ちらほら現れています。
なるほど、暇を喜んでばかりもいられないわけですね。まだまだお話をお伺いしたいところですが、時間も来ましたので、そろそろ終わりにしたいと思います。最後に、商事法務ポータルの「業界研究」への今後の執筆予定がありましたら、教えて下さい。「弁護士の就職と転職Q&A」の連載が10月以降更新されていないので(笑)。
忙しくて連載を止めてしまってすいません。転職を検討する若手弁護士からは、2018年5月に行った「一流企業が真に信頼する法律事務所はどこか?」というインタビュー企画をまたやってほしい、というリクエストをいただきます。あのようにまとまった形での連続インタビュー企画は難しいのですが、2021年には、少しずつでも、法律事務所や弁護士の事例研究になるような取材には力を入れたいと思っています。今日も話に出た、ベンチャー企業での経験をどう活かすか、といった話は、重松さんのほうがずっと詳しいですよね。今度は、法律事務所からベンチャー企業に転職したご経験について、私から重松さんをインタビューさせてください。
機会をいただけましたらよろこんで協力させてください。今日はどうもありがとうございました。

 

(終わり)

 
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