SH3469 厚労省、労働政策審議会建議「男性の育児休業取得促進策等について」公表 上田潤一/安藤翔(2021/02/02) 

そのほか労働法

厚労省、労働政策審議会建議
「男性の育児休業取得促進策等について」公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 上 田 潤 一
弁護士 安 藤   翔

 

1 はじめに

 厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会は、令和3年1月18日に、厚生労働大臣に対して、男性の育児休暇取得促進策に関する建議(以下「本建議」という。)を行った。

 

2 男性の育児休業取得の必要性について

 本建議は、男性の育児休業取得の必要性について、次のように指摘する。すなわち、わが国では、少子高齢化に伴う人口減少下において、出産・育児による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児を両立できる社会の実現が必要とされている。それにもかかわらず、男性労働者の実際の育児休業(以下「育休」という。)の取得率は、令和元年度でわずか7.48%にとどまり、かつ取得期間も約8割が1か月未満にとどまっている。さらに、育児のための休暇・休業の取得を希望していたができなかった男性労働者の割合は約4割であり、男性労働者の休業取得の希望が十分に叶っていない現状がある。

 

3 必要な措置について

 上記2の問題意識を踏まえ、本建議は、男性の育休取得促進等のために必要な措置等を列挙している。その内容は、図①のとおりである。

 

【図① 必要な措置の概要】
男性の育休取得の促進策
  1. ① 子の出生直後の休業の取得を促進する枠組み
  2. ② 妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対する個別の働きかけおよび環境整備
  3. ③ 育休の分割取得等
  4. ④ 育休取得率の公表の促進等
その他
  1. ① 有期雇用労働者の育休・介護休業促進
  2. ② 中小企業への支援
  3. ③ 施行までの期間

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(うえだ・じゅんいち)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。2001年東京大学法学部卒業。2004年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。2012年ヴァンダービルト大学・ロースクール(LLM)修了。2013年ニューヨーク州弁護士登録、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン・ロースクール(LLM)修了。労働法、社会保険・労働保険・年金に関連する法律、会社法、個人情報保護法等の法分野に関する業務を中心に、労働案件、一般企業法務の案件、紛争案件等を取り扱っている。著作に『仕事でよく使う・すぐに応用できるビジネス契約書作成ガイド』(共著)(清文社、2017)、『実務Q&Aシリーズ 懲戒処分・解雇』(共著)(労務行政、2017)等がある。

 

(あんどう・しょう)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2010年早稲田大学法学部卒業。2013年慶應義塾大学法科大学院卒業。2014年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2019年~2020年に米国ニューヨークの大手総合商社・コンプライアンス部門に出向。経営法曹会議会員。入所時から一貫して労働法務を取り扱い(M&Aや倒産法等との交錯領域の経験も多数)、国内外のクライアントに対し、多数のアドバイスを行っている。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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